黄金の組合せ(その30)
リファレンス機器についての読者からの問い合せを三度ほど受けたことがある。
電話での問い合せだった。
一人の方は、具体的に海外製の高価な、そして高評価なオーディオ機器の型番をあげて、
なぜ、○○がリファレンスとして採用されないのですか──、ということだった。
採用されない理由は、読者にいえないことなのか、という勘ぐりも含まれていた。
別の人は、ステレオサウンドで使っているリファレンス機器が、
いちばんいいんでしょう、と念押し的な問い合せだった。
どちらの問い合せも、リファレンス(reference)の意味を取り違えている。
だから、そのことから話すことになった。
電話をかけてこられた方には直接説明できる。
けれど、編集部に電話をかけてくる人は、ほんとうに稀である。
それ以外の人で、リファレンス機器の意味を勘違いしたままの人は、
もしかすると、ずっとそのままな可能性も高い。
そしてステレオサウンド試聴室のリファレンス機器ということは、
それが一つの御墨付になってしまったようにも思っている。
ステレオサウンドのどこにも、リファレンス機器が、
その時点での最高のオーディオ機器だ、なんてことは書いてない。
別項の「リファレンス考」を読んでもらえればわかるように、
リファレンス機器にはリファレンスとして求められる条件がけっこうある。
だから私がいたころも、
アンプはマッキントッシュからアキュフェーズへと替った。
マッキントッシュとアキュフェーズのどちらが優れているか、
そういうことではない、ということがいまだ浸透していないのか。