黄金の組合せ(その29)
先ほど公開した「リファレンス考(その10)」の一つ前(その9)は、
二年半前に公開している。
それを思い出したように続きを書き始めたのは、この項に関係してくるからである。
おそらくなのだが、JBLの4343に代表されるスタジオモニターと、
マッキントッシュの同時代のアンプとを黄金の組合せというのは、
どちらもそのころのステレオサウンド試聴室のリファレンス機器であったことが、
深く関係しているのではないのか。
瀬川先生が生きておられたころは、
リファレンス機器は、特にアンプは人によって違っていた。
スピーカーはJBLの4343で、ほぼ固定といえたが、
アンプに関してはそうではなかった。
それが1981年夏に瀬川先生が二度目の入院をされて、
そして三ヵ月後に亡くなられてからは、アンプに関しては変化があった。
ほぼマッキントッシュのペアが、リファレンスとなった。
C29とMC2205(後にMC2255に替る)がそうだった。
1981年夏の別冊「81世界の最新セパレートアンプ総テスト」でもそうだ。
このことが、黄金の組合せと結びついていったのではないか。
トーレンスのReferenceのせい、といってしまうと言い過ぎなのだが、
日本のオーディオマニアは、リファレンス・イコール・最高のオーディオ機器、
そんな認識を持っている人が少なくないように感じている。
「リファレンス考」でも書いているのように、
リファレンスは、ひとつの基準・参照である。
なにも最高のオーディオ機器ということではない。
この勘違いが、JBLとマッキントッシュが「黄金の組合せ」といつしかなっていった。