Date: 11月 29th, 2019
Cate: 黄金の組合せ
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黄金の組合せ(その31)

別項の「リファレンス考」に書こうかな、と考えたが、
facebookへのコメントは「黄金の組合せ」に対してあったので、こちらで書こう。

オーディオにおいて、リファレンス(reference)をどう訳すか、となると、
私は標準原器を第一にもってきたい。

標準原器としてのアナログプレーヤー、
標準原器としてのCDプレーヤー、
標準原器としてのコントロールアンプ、
標準原器としてのパワーアンプ、
標準原器としてのスピーカーシステム、
それぞれをまず具体的にイメージしてみてほしい。

その30)へのコメントには、
「リファレンス」が「最高のもの」を示すマーケティング擁護として使われているからではないか、
その一例として、テクニクスのフラッグシップモデルが、「リファレンス」を冠している、
とあった。

たしかに「リファレンス」はそういう使われ方をされることが、
オーディオ業界では多い。

私が知る限りでは、Referenceを型番として採用した最初のオーディオ機器は、
トーレンスのReferenceである。

それから数年後に、ゴールドムンドの、やはりアナログプレーヤーがReferenceという型番で登場した。
このゴールドムンドのReferenceから、
「リファレンス」はそういう使われ方へと変化していったように、私は感じている。

トーレンスのReferenceの記事は、ステレオサウンド 56号に載っている。
瀬川先生が書かれている。
     *
 ことしの3月に、パリの国際オーディオフェア(アンテルナシォナル・フェスティヴァル・デュ・ソン)に出席の途中に、スイスに立寄ってトーレンス社を訪問した。そのときすでにこの製品の最初のロット約10台が工場の生産ラインに乗っていたが、トーンレス本社で社長のレミ・トーレンス氏に会って話を聞いてみると、トーレンス社としても、これを製品として市販することは、はじめ全く考えていなかった、のだそうだ。
「リファレンス」という名のとおり、最初これはトーレンス社が、社内での研究用として作りあげた。アームの取付けかたなどに、製品として少々未消化な形をとっているのも、そのことの裏づけといえる。
 製品化を考慮していないから、費用も大きさも扱いやすさなども殆ど無視して、ただ、ベルトドライヴ・ターンテーブルの性能の限界を極めるため、そして、世界じゅうのアームを交換して研究するために、つまりただひたすら研究用、実験用としてのみ、を目的として作りあげた。
     *
トーレンスのreferenceは、トーレンスがつくりあげた標準原器である、
と、この文章を読んでも私はそう思う。

ところがゴールドムンドのReferenceとなると、
まずReferenceという型番ありきの開発だったのではないのか。

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