VUメーターのこと(その22)
音だけに関していえば、メーターはないほうがいい。
アンプによっては、メーターのON/OFF機能がある。
OFFにした音を一度でも聴くと、ONにしようとは思わなくなる。
ではOFFにしたから、メーターによる音への影響はゼロにできるかというと、
決してそうではない。
フロントパネルにメーターが取り付けられている時点で、音への影響は生じている。
メーターが大きいほど、フロントパネルに開けられる取り付け穴は大きくなる。
その分だけフロントパネルの強度は低くなる。
振動モードも当然変化する。
しかもそこに空間をもつメーターがとりつけられるわけで、
この部分の共振も、また音への影響となっていく。
メーターを構成する部品の共振も無視できない。
それにメーターの駆動部分には磁石が使われている。
メーター機能をOFFにしていても、この磁石は生きている。
他にもあるけれど、メーターがついてるだけで、
メーターとして機能していなくても、音への影響をゼロにできるわけではない。
そんなことはわかったうえで、今回のSAEのMark 2500である。
マークレビンソンのLNP2にしても、メーターがなければ、もっと音が良かったはずだ。
けれどメーターのないLNP2を想像してほしい、
メーターのないMark 2500を思い浮べてほしい。
メーターのON/OFF機能は、私はいらない、と思っている。
こういうスイッチがついているから、ついOFFにした音を聴くことになる。
OFFにした音を聴くと、ONにしようとは思わない。
ならば、最初からメーカーをつけなければいいのに──、そう思ったりするからだ。
ON/OFF機能がなければ、メーターの音への影響があるのはわかっていても、
簡単にたしかめることはできないから、そのままで聴く。
それでいいではないか。