ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その7)
4310から続くシリーズは、いまも作られている。
4311になり、いまは4312となり、型番末尾にアルファベットがつくようになった。
ロングセラーモデルといえるわけだが、ロングライフモデルとも思っていた。
けれど最近は、少し考えを改めた。
なぜJBLは、4312SEからウーファーにローパスフィルターを足すようになったのか。
4310から4311、4312の途中までの特色は、
ウーファーにはネットワーク(フィルター)が介在しないことでだった。
このことによる音の特徴はあったわけで、それをJBLは辞めてしまった理由について考えると、
時代にそぐわなくなったということもあるだろうが、
長く使っていることて生じる劣化もあるのではないのか。
ローパスフィルターを必要としない設計のウーファーは、
ボイスコイルボビンとコーン紙の接合にコンプライアンスを持たせる。
このコンプライアンスによってメカニカルフィルターを形成しているわけだが、
この部分は経年変化によって、どう変化していくのだろうか。
硬くなっていくとしたら、メカニカルフィルターが効かなくなってくるわけで、
スコーカーの帯域までウーファーからの音がかぶってしまうようになるし、
反対に柔らかくなれば、メカニカルフィルターの効きが、より低い周波数に移行することになり、
スコーカーの受持帯域との間にギャップを生じることになるはずだ。
実際のところ、どうなのだろうか。
私の周りには、以前鳴らしていたことはある人はいるけれど、いまも鳴らしている(長いこと使っている)人はいないから、
確かめようがないが、初期特性を維持したまま鳴っているとは考えにくい。
このことを配慮しての4312SEなのかもしれない。