Date: 9月 5th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design
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CR方法(その27)

私がオーディオに興味を持ち始めた頃、
オルトフォンのSPUには、Gシェルに昇圧トランスを内蔵したSPU-GTがあった。

MC型カートリッジの出力電圧は低い。
低域に関しては、MC型やMM型は速度比例型だから、さらに出力電圧は低下する。
20Hzでは1kHzのレベルよりも約20dBほど低下する。

音楽にはピアニッシモがある。
ここではさらに出力電圧は低下する。

低音域でのピアニッシモだと、MC型カートリッジの出力電圧はごくごく小さいレベルとなる。
そんな微小信号が、トーンアーム内の細いケーブルを伝わって、
さらにはトーンアームからの出力ケーブルを伝わって、
ようやくヘッドアンプなり昇圧トランスへとたどりつく。

接点も、増えることになる。
MC型カートリッジが発電した信号は、完全な状態でたどりつくとは、とうてい思えない。

理想はカートリッジの出力端子のすぐあとでの増幅もしくは昇圧である。
ヘッドシェルにヘッドアンプか昇圧トランスをおさめればいい。

ヤマハのヘッドアンプHA2は、増幅回路の初段のFETを専用ヘッドシェルにおさめ、
ヘッドアンプ入力までを電流伝送としていた。

オルトフォンは、ずっと以前から昇圧トランスをおさめたSPU-GTを作っていた。
昇圧トランスをいろいろ試したり、あれこれやってきた人ほど、
このサイズの昇圧トランスでまともな音がするのだろうか、と思うのではないか。

私はそうだった。
SPUというカートリッジには、ずっと関心をもってきているが、
SPU-GTに関しては、そうではなかった。

私は試したことがないが、SPU-GTのトランスを取り出して、
一般的な昇圧トランスと同じ使い方をしたら、どんな音なのだろうか。

トランス単体としてみれば、優れたトランスとはいえないモノだろう。
でも、Gシェル内におさめられることでのメリットがある。

現在のオルトフォンのラインナップにSPU-GTはない。
あの小型トランスを作れる人がいないから、だそうだ。

何がいいたいかというと、SPU-GTのトランスにCR方法を試したら──、である。
あの限られたスペースに、抵抗とコンデンサーをおさめることになるわけだから、
けっこう困難な作業になるだろうが、
うまくやれれば、かなりの好結果が得られるのではないだろうか。

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