サイズ考(トールボーイ型スピーカー・その1)
セレッションのSL6、続いて登場したSL600、
以降、小型スピーカー、それもサブスピーカー的な小型スピーカーではなく、
メインスピーカーとしての小型スピーカーが数多く登場するようになった。
それ以前の小型スピーカーとの違いはいくつかあって、
そのひとつとして挙げられるのは専用スタンドが用意されることが増えてきたことでもある。
サブスピーカーとして小型スピーカーであれば、
本棚におさめたり、テーブルの上に置いたり、と、
メインスピーカーとしての設置とは違っているのが普通であった。
けれどメインスピーカーとしての小型スピーカーの設置となれば、
専用スタンドに乗せ、できるだけ左右に拡げ、左右の壁、後の壁からもできるだけ距離を確保する。
そういう設置が一般的になってきた。
つまり小型スピーカーとはいえ占有する空間は大型スピーカーの設置とあまり変らなくなる。
スペースファクターはサイズの割には良くない。
ならば多くの人がエンクロージュアを縦に長くしたらどうか、と考える。
いわゆるトールボーイのスタイルである。
専用スタンドとの組合せが前提なら、
スタンドの分もエンクロージュアにしてしまえば、占有床面積はほぼ同じままで、
内容積は二倍、三倍、もしくはそれ以上に増やせる。
ウーファーの数もダブルにしようと思えば可能である。
そうすれば低域再生に、小型エンクロージュアのままよりも余裕が生れる。
トールボーイは、小型スピーカーの行き着く形態のように思えた。
きっと誰もがそう思ったのかもしれない。
トールボーイのスピーカーシステムがいくつも出て来た時期があった。
だが小型スピーカーに傑作は少なくないが、
トールボーイ型となるとそうではなくなる。