D2 Dual Driverがもたらす妄想
オールホーンシステムは、その昔オーディオマニアのひとつの夢として語られていたこともある。
いまもオールホーンシステムを理想とする人はいる。
それでも低域まで、それも20Hzまでホーンに受け持たせようとすれば、
そうとうに大がかりなシステムになり、部屋ごと(家ごと)つくるシステムになってしまう。
20Hzまでホーンロードをしっかりとかけるためには、
低音ホーンのカットオフ周波数は20Hzの半分、10Hzにする必要がある。
こうなるとホーン長も開口部面積も、長く大きくなってしまう。
そこまで挑戦する人でも、
低音用のドライバーは、コーン型ウーファーを使う人が大半だった。
中低域より上の帯域にはコンプレッションドライバーを使う人でも、
低音だけはコーン型ウーファーだった。
オールホーン(コンクリートホーン)で知られる高城重躬氏が使われていたゴトーユニットのラインナップでも、
最も低い周波数といえば、SG555TT、SG555DXで、
カタログ発表値では100Hz以上になっていて、推奨クロスオーバー周波数は200Hz以上になっている。
ゴトーユニットには、だからSG38Wという38cm口径のコーン型ウーファー用意されていた。
けれどゴトーユニットとともにオールホーンシステムを目指す人にとって心強い味方といえるYL音響には、
D1250というコンプレッションドライバーがあった。
直径21.5cm、重量26kgの、このコンプレッションドライバーのカタログ発表値は、16Hz〜1000Hzとなっている。
低音ホーンに使え、最低域までカバーできるコンプレッションドライバーは、
他に同類の製品は存在したのだろうか。
オールホーンシステムにさほど関心のない私でも、D1250を思い出したのは、
JBLのD2 Dual Driverの存在である。
D1250はボイスコイル径12.8cmの、一般的なドーム状のダイアフラムである。
これがD2 Dual Driverだったら……、と想像したくなる。
JBL PROFESSIONALのM2に搭載されているD2 Dual Driverは3インチ・ダイアフラム。
JBLがそんなものをつくることはないのはわかっていても、
4インチ、もしくは5インチのD2 Dual Driverで、低音までカバーしたモノをつくってくれたら……。
いったいどんな低音が聴けるのだろうか。