サイズ考(その77)
L07C、Mark 2500の寝起きが悪いということを読んで、
まず温度が深く関係していることは、誰でもが思うことである。
パワーアンプの場合、出力段のトランジスターに流れる電流を、
バイアス回路で管理する。
このバイアス回路は温度補償もかねて、出力段とどこかで熱結合されている。
それゆえに、バイアス回路をどこに置くのかは、
パワーアンプの音質を大きく左右することになる。
取り付け位置がまずいと、温度に関して不安定気味になる。
あまりシビアに反応しても、うまくないわけである。
といってあまり反応しない位置に取り付けてしまえば、
熱暴走で出力段のトランジスターを壊してしまうことにもなりかねない。
大型(大出力)のパワーアンプになればなるほど、ヒートシンクは大型化していく。
トランジスターの数も増える傾向にある。
ヒートシンク全体が常に同じ温度であるならばいいのだが、温度差は生じるし、
出力段のトランジスターのすべてが同じ温度で動作させるということは、
なかなか難しいことである。
SAEのMark 2500を見てみると、動作中の出力段の温度を、
サーモグラフィーを出力段の表面温度を測ってみたくなる。
Mark 2500の出力段は2パラレル・プッシュプルだが、
トランジスターの数は片チャンネルあたり八個である。
トランジスターを二段重ねで使う回路のためである。
この八個のトランジスターが水平に四個ずつ二列に並んでいる。
どうみても、これら八個のトランジスターの温度が同じになるとは、
なかなか考えにくい。
電源投入時と二、三時間鳴らした状態でサーモグラフィーで表面を温度を測ったら、
どんな結果になるだろうか。