オーディオの楽しみ方(つくる・その42)
別項「PCM-D100の登場」で書いているように、録音も自作である。
ソフトウェアの自作である。
私ぐらいの世代だと、中学生、高校生のころ、
カセットテープに、好きな曲ばかりを集めた、
いわゆる自分だけのベスト盤(テープ)を作っていた人もけっこういるはずだ。
それから友達に渡すためのテープを、同じように作っていた人もいよう。
私は、FM放送で聴きたい曲を録音するくらいで、
LPの音をカセットテープに録音して、それで聴くというのはやらなかった。
カセットテープに録音すれば、その分だけ音が悪くなるし、
音が悪くなることに時間と手間をかけることが無意味に思えたからだった。
やっと買えたLPを傷つけないためにも、
カセットテープに録音して聴いていた──、という話はよくきく。
その気持はわかるけれど、アナログプレーヤーの調整をきちんとやっていれば、
そうそうレコードの盤面(溝)は傷むものではないし、
それに粗悪なカートリッジではなく、きちんとしたカートリッジでかけることを、
私は重視していた。
それからカセットテープを交換する相手もいなかった。
とはいえ、カセットテープにそうやって録音していく行為は、自作の一歩ではある。
CDをリッピングしたり、ストリーミングを利用している人が、
プレイリストを作る。
これもカセッテープに好きな曲を集めて録音(ダビング)していたのと同じ行為、
そんなふうに思えてくる。
TIDALもプレイリストを、当然作れる。
けれど、プレイリストをまったく作っていない。
カセッテープに好きな曲を集めて聴くのと、
TIDALでプレイリストを作って聴くのとでは、音質の劣化が生じないという違いがある。
どんな最新の注意を払って、最高の機種で録音したところで、
カセットテープへのダビングでは、音質が少なからず悪くなる。
けれどTIDALでどんなプレイリストをつくろうとも、
そのプレイリストのまま再生しても、プレイリストを使わない時の音と、
違いはない、といえる。
ならばプレイリストを作ったほうが、聴きたい曲をすぐに聴けるというのはわかっている。
それでもTIDALで頑なにプレイリストを作らないのは、
プレイリストを作ることで、聴く音楽の範囲が狭められるような感じがするからだ。