2025年ショウ雑感(その19)
インターナショナルオーディオショウが終っても、東京でも大阪でも各地で、オーディオショウが開催されている。
販売店主催のショウも、ずいぶん増えた。
インターナショナルオーディオショウの規模がいちばん大きくても、聴くことができないブランド、製品はけっこうな数になる。
インターナショナルオーディオショウで聴けないモノが、別の所でのショウでは聴けたりする。
いいことだと思う。
全てのオーディオショウとまでいなくても、けっこうな数のオーディオショウに足を運ぶ人はいる。
そうやって、いろんなオーディオ機器に触れ、音を聴く。
けっこうなことだ。
別項で書いているが、オーディオ店、オーディオショウで聴いたオーディオ機器の数をやたら誇る人がいる。
数を聴くことが悪いとは言わないが、それでもオーディオ店やショウで聴ける音は、
あくまでも参考程度に留めておくべきで、そこでの音で評価は、まずできないと思っていた方がいい。
もちろん必ずしも全てがそうだと言わない。
惚れ込める音との出逢いは、それがたとえあまり良くない状態で鳴っていたとしても、
何か感じるものがあるからだ。
2002年のインターナショナルオーディオショウ、タイムロードのブースで鳴っていたジャーマン・フィジックスの音が、
私には、まさしくその音だった。
そんな例もあるが、それでも、そこで聴けた音は、
その製品そのものの音というよりも、
そのブースの鳴らし手の音(実力、感性、情熱)を聴いていると思って、間違いない。
だから、今回のショウでは、これだけの数のオーディオ機器の音を聴いた──は、ほとんど意味を持たない。
ステレオサウンド 97号に海外メーカーのスタッフのインタヴュー記事が載っている。
マイクロメガのダニエル・シャーのインタヴューがある。
*
最近はよくリファレンスシステムについて訊ねられますが、私はこれを公開することで、オーディオファイルが誤解することを危惧しますね。というのは、それぞれのイクイップメントには長所と短所があり、それらすべてをよく理解できているものが、リファレンスとして、サウンドデザインに使用できるのです。かりに、私がこのメーカーのこれをリファレンスにしていると言ったら、オーディオファイルによってはこれが最高なのかと早とちりしてしまうかもしれないし、またある人はこんな機器を使っているのかと蔑み、私の製品を理解しようとはしないでしょう。このような状況が考えられますから公表したくありません。
*
ここで述べられている危惧とはまったく同じとは言えないものの、深いところでは同じ危惧と言える。