BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その18)
私が知るかぎり、瀬川先生がダブルスタックのESLの音について語られているのは、
音楽之友社からでていた「ステレオのすべて」の’81年版だけである。
この年の「ステレオのすべて」の特集は、
「音楽再生とオーディオ装置 誰もできなかったオーケストラ再生」であり、
瀬川冬樹、山中敬三、両氏を中心に読者の方が3人、それにリポーターとして貝山知弘氏によるもの。
ここでも組合せがつくられている。
瀬川先生による組合せが3つ、山中先生による組合せが2つ、
そして読者の方による組合せがそれぞれつくられ、
それぞれの音について討論がすすめられている、という企画である。
ここで山中先生の組合せに、ダブルスタックのESLが登場している。
アンプはコントロールアンプにマークレビンソンのML7L、パワーアンプにスレッショルドのSTASIS2。
アナログプレーヤーは、トーレンスのTD126MKIIIC、となっている。
ESL用のスタンドは、ステレオサウンドでの試聴のものとは異り、
マークレビンソンのHQDシステムで使われているスタンドと近い形に仕上がっている。
ただしHQDシステムのものよりも背は多少低くなっているけれど、
ステレオサウンドのスタンドと較べると、下側のESLと床の間に空間がある分だけ背は高い。
2枚のESLの角度は、
ステレオサウンドでの試聴では、下側のESLのカーヴと上側のESLのカーヴが連続するようになっているため、
横から見ると、とくに上側のESLが弓なりに後ろにそっている感じになっている。
音楽之友社(ステレオのすべて)の試聴では、
2枚のESLができるだけ垂直になるように配置されている(ように写真では見える)。
実験はしたことないものの、2枚のESLをどう配置するか、
その調整によってダブルスタックのESLの音が想像以上に変化するであろうことは予測できる。
だから同じダブルスタックといっても、ステレオサウンドでのモノと音楽之友社のモノとでは、
かなり違うといえばたしかにそうであろうし、
それでも同じダブルスタックのESLであることに違いはない、ともいえる。