電子制御の夢(ウーファーの場合・その3)
NFBをかけることでアンプの特性が改善される。
周波数特性、S/N比、歪率などが、NFBの量に比例するかのように改善される。
ある時期までは、安定して、どこまでNFBを深くかけられるかが、
高い技術のように考えられていた。
けれど、NFBを極端にかけたアンプは音が芳しくない、とか、
アンプの静特性よりも動特性のほうを重視しなければならない、とか、
さらにNFBのかけすぎによってTIMという歪が発生していることもわかってきた。
MFBの、この点はどうなんだろうか。
NFB同様かけすぎることで、TIM歪のようなものが発生しているのだろうか。
何も起っていないとは考えにくい。
私がMFBという技術を知ったころよりも、
インフィニティが製品化したころよりも、センサーに関してはずっと進歩している。
ボイスコイルの動作だけでなく、ウーファーの振動板の動きまでも、
MFBでコントロールしようと思えば、かなりのレベルで可能なはずだ。
それでもスピーカーが動かすのは空気である。
振動板が入力信号に応じて、完全なピストニックモーションをしてくれれば、
それでいい音が得られるのか。
振動板の前にある空気こそが、入力信号に応じて完全な疎密波になってこそ、
MFBの目的は達した、といえるはずである。