BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その33)
そういえば──と思い出すのは、五年前、大滝詠一の“A LONG VACATION”の金蒸着CDが三十万円を超える値がついてヤフオク!で落札されたことだ。
1980年代の終りごろから金蒸着CDがいくつかのレコード会社から出た。通常のアルミ蒸着CDよりも少し高かったけれど、
むちゃくちゃ高価だったわけではない。
五千円しなかったと記憶しているが、そのぐらいだったはず。
それが未開封とはいえ三十万円以上で落札。
ロジャースのLS3/5Aが登場したとき、ペアで十五万円だった。その後、少しずつ値が上がり、1980年代半ば頃には、ペアで十六万円を超えていた。
それが六十万円を超えて取り引きされるようになった。
新品未開封のCDか中古のスピーカーという違いはある。
当時の価格を知る者からすると、適正価格とはいったいどういうことなのか、と考える。
特に製造中止になったモノの適正価格は──と考えながらも、インターネットオークションがここまで普及してしまうと、
考えるのは無駄なことのようにも思える。
そんなことをぼんやり考えながら、ステレオサウンド 237号のベストバイのページを開く。
ペアで40万円以上80万円未満のスピーカーシステムのところを見る。
グッドマンのLS3/5Aの落札価格と同じ価格帯であるわけだが、
ベストバイに選ばれているスピーカーのどれらを買うことになったら、私ならどれを選ぶだろうか。
どれだろう──、と他人事みたいにページを眺めていて、世の中に、これだけのスピーカーシステムとグッドマンのLS3/5Aしか存在してないのであれば、
LS3/5Aを選ぶかもしれない──と思ったりした。
これは極端な設問であって、まったく現実的ではないし、
個人的にLS3/5Aの現在の相場は少しおかしいと感じていても、
魅力的なスピーカーシステムということでは、選択肢に加わってくる。
そこでまた適正価格とは──を考えてみるのだが、はっきりとしたことは何も浮かばない。