Date: 2月 28th, 2020
Cate: アナログディスク再生
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電子制御という夢(その34)

日本のオーディオの歴史をふりかえれば、
日本のメーカーのトーンアームはSMEのコピー(モノマネ)から始まった、といえる。

ほぼ日本だけの規格ともいえるところがあるヘッドシェルのコネクターも、
まさにそうだ。
このコネクターの採用により、カートリッジの交換が容易になり、
カートリッジを、レコードに応じて、音楽に応じて、ときには気分に応じて交換する──、
そういう楽しみ方が日本のオーディオマニアではごくあたりまえのことになっていた。

もちろんずっとSMEのトーンアームのコピーのままだったわけではないが、
SMEのトーンアームが日本のメーカーに与えた影響はそうとうに大きいものであった。

だからこそ日本のオーディオメーカーに、
日本独自といえる電子制御のトーンアームを、
完成形といえるレベルまで開発を継続してほしかった。

事実、(その5)でもふれているように、
SMEのロバートソン・アイクマンは1979年のオーディオフェアに来日して、
《ソニーの電子制御アーム。これも私にとって興味をいだかずにはいられないものでした》
と、ステレオサウンドのオーディオフェアの別冊でのインタヴューで語っている。

そのソニーの電子制御トーンアームは、洗練はされていなかった。
当時、広告や記事での写真を見てもカッコイイとは感じなかった。
いま見ても、そのへんの印象は変らない。

まだまだ登場したばかりの形という感じだった。

十年。
1990年ごろまで、日本のオーディオメーカー各社が、
電子制御トーンアームに積極的に取り組んでいれば、
そのカタチも洗練されていったはずだ。

そうなっていれば、日本独自の素晴らしいトーンアームが生れていたかもしれない。

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