muscle audio Boot Camp(その14)
アンプのカタログに載っているダンピングファクターではなく、
スピーカーユニットからみた実効ダンピングファクターには、
スピーカーに内蔵されているLCネットワークの出力インピーダンスも関係してくる。
ウーファーの場合、6dB/octスロープのネットワークでは、コイルが直列に入る。
コイルのインピーダンスは高域にいくにしたがって高くなっていく。
こういう特性をもつコイルが関係してくるし、
コイルも銅線を巻いたものだから、そこには直流抵抗も存在する。
12dBスロープだと、コイルに対し並列にコンデンサーがあり、
コンデンサーのインピーダンスは高域にいくにしたがって低くなる。
18dBスロープだと、もうひとつコイルが直列に入る。
ネットワークの次数の違いは、スロープの違いだけでなく、
出力インピーダンスについても考える必要がある。
実効ダンピングファクターには、これらの要素も含めて考えなければならない。
さらにスピーカー内部配線の具合によっても、ダンピングファクターは変化する。
よくアンプで、新型になって内部配線を見直したり、
保護回路のリレーを交換したりすることで出力インピーダンスの、これらによる上昇を抑え、
ダンピングファクターの数値を向上させた、と謳うことがある。
確かにアンプの出力端子でのダンピングファクターは向上している。
このことは、そんなわずかなことでも影響を受けるということを暗に語っている。
にも関わらず、
スピーカーシステム内部の、もっともっと影響を与える要素について触れられることは稀である。
それにアンプ単体でみても、ダンピングファクターはそう簡単に語れるものではない。