muscle audio Boot Camp(その11)
もちろん6dB直列型の音が、バイアンプの音をすべての点で超えているわけではない。
バイアンプでなければ鳴らない(鳴らしにくい)音があるのは確かだ。
それでも6dB直列型ネットワークにしたときの音は、
これはこれでいい、といえるだけの説得力が確かにあった。
だからこそ「バイアンプにしましょう」という声があがらなかった、
と私は勝手に解釈している。
バイアンプの良さは、まずウーファーとアンプが直結されることにある。
クロスオーバー周波数が低いほど、コイルの値は大きくなり、
コイルのサイズも大きくなっていく。コイルの直流抵抗もその分増えていく。
コイルは銅線を巻いたもの。
値によって変るが銅線の長さはすぐに10mをこえる。
数10mになることも珍しいことではないし、場合によっては100mほどになることだってある(空芯の場合)。
よく言われることだが、
スピーカーの入力端子まで、スピーカーケーブルにどんなに高価なケーブルを使おうと、
もしくはできるかぎりスピーカーケーブルを短くしても、
スピーカー端子の裏側には、長い長い銅線をぐるぐるに巻いたコイルが、
ウーファーであれば直列に入っている。
それでもスピーカーケーブルを交換すれば、
スピーカーケーブルを短くすれば、音は変るけれど、
バイアンプ駆動にしてコイルを省けば、音の変化はもっと大きい。
一度コイルなしのウーファーの音を聴いてしまうと、やはりバイアンプ(マルチアンプ)か、と思う。
でも6dB直列型の音を聴いていると、そうは思わなかった。
この音が出るのなら、もっともっとこまかくチューニングを施していけば……、
そう期待できる音だった。
最終的にはバイアンプに目指すことになろうとも、
この音は、この音としていつでも鳴らせるようにしておきたい。