Date: 1月 6th, 2022
Cate: マッスルオーディオ
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muscle audio Boot Camp(その20)

ダンピングファクターは、スピーカーの駆動力だと思っている人が、
キャリアの長い人であってもけっこう多い。

ここではくり返さないが、
ダンピングファクターとは、スピーカーのインピーダンス(つまり8Ω)を、
アンプの出力インピーダンスで割った値でしかない。

なので出力インピーダンスが低いほどダンピングファクターは当然高くなるわけだが、
この出力インピーダンスというのは、アンプのスピーカー端子のところでの値でしかない。

そして、何度もくり返すが、あくまでも静的なダンピングファクター(出力インピーダンス)だ。

ダンピングファクターが高ければ高いほど駆動力の高いアンプである──、
中学生のころは、わりと信じていたが、
NFBをかける前の周波数特性と出力インピーダンスのカーヴとの関連性に気づくと、
実質的なダンピングファクターの高さとは? と考えるようになってきた。

そして決定的だったのは、伊藤先生製作の349Aのプッシュプルアンプを聴いてからだった。
ウェスターン・エレクトリックの349Aは小型の五極管。
6F6と差し替えられる。

なので349Aでアンプを作るのであれば、
一般常識的には出力トランスの二次側からのNFBが必須である。
NFBがなければ出力インピーダンスはかなり高く、
いわゆるまったくダンピングのかからない低音になってしまう──、
つまりブンブンとうなってばかりで、締まりのない低音である。

伊藤先生のアンプはウェストレックスのA10の回路を採用したもので、
出力トランスの二次側からのNFBはかかっていない。
NFBは位相反転回路までで、出力管はそこに含まれていない。

なので349Aのプッシュプルアンプのダンピングファクターは、そうとうに低くなる。
それでも実際に音を聴くと、まったくそんな感じがしない。
ボンつくことがない。
むしろ澄明な低音が鳴ってきた。

出力わずか8Wのアンプだから、ウーファーを牛耳って、という感じではまったくないが、
いい音だな、と聴き惚れていたし、なんといっても音の減衰のしかたがほんとうに美しかった。

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