アナログディスク再生の一歩目(その3)
オルトフォンのMC20とMC20MKII。
型番だけから判断すると、MC20MKIIはMC20の後継機、改良モデルということになる。
けれど音を聴いてみればわかることなのだが、
MC20MKIIはMC30の弟分といえる。
MC30で初めて採用されたセレクティヴダンピング方式を、
MC20に導入したモデルといえはたしかにそうなのだが、
MC20のボディは青色、MC20MKIIはメタリックな銀色で、
ボディの色ひとつとっても、MC30(メタリックな金色)に近い。
音もそうである。
MC20とMC20MKIIを比較試聴したことがある。
MC20は、いいカートリッジではあったけれど、
リファレンス的とでもいいたくなるほど、音楽を聴いた時の面白みにやや欠ける。
優等生といえば優等生である。
ケチをつけることではないのだが、その枠から一歩脱してほしい、と思う私にとっては、
MC20よりもMC20MKIIが魅力的にきこえた。
知られているように、MC20を設計したのは日本人である。
トリオで光電カートリッジを手がけていた中塚氏がオルトフォンに移籍しての設計である。
MC20があったからMC30が登場してきたし、MC20MKIIもそうである。
だからMC20が、ステレオサウンドの「オーディオの殿堂」入りしたのは納得できる。
それでもオルトフォンがSPUシリーズに肩を並べる魅力的なMC型として、
しかも最新型のMC型として成功したといえるのは、MC30とMC20MKIIからである。
そういうMC20MKIIを手にして感じたのは、
音の中身(中味)の本質的な違いである。
一枚のレコードを聴いた、
音楽を聴いたという充実感があった。