Date: 6月 14th, 2025
Cate: Jazz Spirit

LOCKWOOD Major(その2)

ロックウッド Majorと同時代で、
同じ15インチ口径の同軸型ユニットを搭載していたタンノイのスピーカーシステムには、Ardenがあった。

ロックウッドに興味があった中学生だった私は、MajorとArdenのスペックを比較して、疑問を持っていた。

Ardenの外形寸法はW66.0×H99.0×D37.0cm、重量は56.0kg。
ロックウッドのMajorの外形寸法はW71.0×H114.0×D44.5cm、重量は54.0kg。

同じスピーカーユニットを搭載し、Ardenよりも堅固なエンクロージュアの造りで、しかも外形寸法も大きいにも関わらず、
なぜかカタログ発表値は、Majorの方が軽い。

しかも15インチ口径の同軸型ユニットを二発搭載している上級機のMajor Geminiの重量も54.0kgである。

タンノイのHPD385Aの重量は14kgと発表されていたから、本来ならば、Major Geminiは10kg以上重たいはずなのに、である。

おそらくなのだがロックウッドの54kgというのは、エンクロージュア単体の重量なのだろう。

Date: 6月 13th, 2025
Cate: Jazz Spirit

LOCKWOOD Major(その1)

以前、別項で、もしジャズ喫茶をやることになったら、スピーカーは、イギリスのロックウッドのMajor Geminiを第一候補と考えていると書いている。

ロックウッドはタンノイの同軸型ユニットを採用し、エンクロージュアを独自製作したスピーカーを手掛けていた。
1970年代、シュリロ貿易が輸入元だった。

音は聴いたことがない。オーディオ店に展示されていたのを見ただけである。

同じタンノイのスピーカーユニットでも、タンノイ・ブランドのスピーカーシステムとは、ずいぶん違う音を聴かせてくれるそうだ。
エンクロージュアも、タンノイのモノよりもずっと堅固に作られている、ということだった。

この点に関しては、実際にロックウッドのスピーカーを手に入れられた方の話によると、それほどでもないらしい。

それでもロックウッドのスピーカーの音は、
瀬川先生、長島先生の書かれたものを読んでは、鳴らしてみたい、と想いを募らせていた時期がある。

シュリロ貿易がオーディオから離れてロックウッドを輸入することところはなかった。
ウワサも聞かなくなっていたから、会社がなくなったものだと思っていた。

実際、1980年代に火災にあって会社はなくなったが、創業者の孫が2017年に復活させている。
いま、ロックウッドは健在だ。

タンノイの15インチ口径のユニットを二発収めたMajor Geminiはラインナップにはない。
でも一発の方のMajorはある。

現行製品のMajorは、タンノイのどのスピーカーユニットを搭載しているのか。
ウェブサイトには、“15 Inch (385mm) Lockwood Green HPD/SL”とある。

HPDなのか。
耐入力、出力音圧レベルを見ると、HPD385のようだ。スピーカーユニットの写真を見ることはできないので、
これ以上のことはなんともいえない。

それでも聴いてみたい、そして鳴らしてみたいスピーカーシステムである。

Date: 6月 12th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その20)

ダイナコのSCA35は真空管プリメインアンプだから、専用とはいえウッドケースをつけるのは、
放熱の点では好ましくない。

同時のダイナコの輸入元はハーマン・インターナショナルだった。
なんとなくなのだが、ウッドケースは日本で企画され製造されたものではないだろうか。
そんな気がしてならない。

別にそれでもいいと思っている。
放熱が心配なだけで、問題ないとわかったら、今も欲しい気持は残っている。

私が使っていたのは、信頼できる人が整備してくれたモノで、
出力管の6BQ5は、シーメンスかテレフンケンのEL84になっていた。
真空管の選別をきちんとやれば、SCA35はローコストの真空管プリメインアンプにしては、
なかなか品のある音を出してくれる。

いまの時代、SCA35的なアンプを求めようとなると、何があるだろうか。

Date: 6月 11th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜(Westrex Londonを鳴らす)

7月9日のaudio wednesdayは、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーシステムを鳴らす予定でいる。

野口晴哉氏のリスニングルームの壁には、シーメンスのオイロダインが埋め込まれている。
そのオイロダインの下に位置するのが、ウェストレックス・ロンドン。
オイロダインと同規模のモノ。

ウェストレックス・ロンドンのスピーカーのことはあまり知らない。
過去に二度聴いたことはあるが、別のモノである。

今回鳴らすウェストレックス・ロンドンは、野口晴哉氏が亡くなられてから鳴らされていないようである。
鳴らないということは、まずないだろうが、どんな音で鳴ってくるのかは、全く予想できない。

昨年5月のaudio wednesdayで鳴らしたウェストレックスの757Aのような驚きを体験できるのか。

Date: 6月 10th, 2025
Cate: 菅野沖彦

菅野沖彦氏のこと(ベートーヴェン観・その2)

6月4日のaudio wednesdayで、ジョージ・セル指揮ウィーン・フィルハーモニーによるベートーヴェンの「エグモント」をかけた。

長島先生が、よく試聴レコードとして鳴らされていたし、CDが登場して数年経ったころ、
音楽之友社が独自にCD化したこともある。

そのころ、名盤と言われていても、なかなかCDにならないアルバムがけっこうあった。
音楽之友社は、そういったアルバムを限定で復刻していた。
セルの「エグモント」の解説は、黒田先生が書かれていたと記憶している。

もちろん、この時、セルの「エグモント」のCDは買った。今回鳴らした「エグモント」は、タワーレコードが独自復刻したもの。

セルの「エグモント」ということは言わずにかけた。かけ終ってから、セルだ、と伝えたところ、
曲名検索アプリのShazamでは、モントゥーと表示される、と言われた。

Shazamも間違えることもあるんだ、ぐらいで受け止めていた。
audio wednesdayを終え帰宅したのは日付が変ったころ。
「エグモント」の件が気になって、モントゥーの演奏を検索する。
序曲だけだから、長いわけではないから、これ一曲、聴いてから寝よう。
そんなふうに書き始めた。

「エグモント」を聴き終って、ベートーヴェンの交響曲第三番も、冒頭だけ聴いてみよう、と思った。
最後まで聴いていた。

菅野先生は、コリン・デイヴィスのベートーヴェンの「序曲集」も高く評価されていた。
録音だけでなく、まさしくベートーヴェンだ、と、その演奏も高く評価されていたし、
児玉麻里/ケント・ナガノのベートーヴェンのピアノ協奏曲についてもそうだった。

モントゥーのベートーヴェンについて、菅野先生と話しておけばよかった……、とおもっても遅すぎる。

Date: 6月 9th, 2025
Cate: 「ルードウィヒ・B」

絵師ムネチカ

6月12日に、さそうあきら氏の「絵師ムネチカ」が発売される。
第一巻と二巻、同時発売だ。

「絵師ムネチカ」は、webアクションで連載中で、私はそれを読んでいる。とはいえ毎回欠かさずというわけではないので、
今回の単行本の発売は待ち遠しく感じている。

「絵師ムネチカ」を読んでいて、さそうあきら氏の作品の主人公は、
どこかパルジファル的だ、と確信するようになった。

以前から何となく感じていたことだったが、「絵師ムネチカ」でも、そう感じた。

8月6日のaudio wednesdayでは、さそうあきら氏にDJをお願いしている。

Date: 6月 9th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その2)

今月下旬開催のOTOTENに、ジャーマン・フィジックスの輸入元のタクトシュトックは出展しない。
昨年に続き、二年続けてのことだ。
京都で開催されるオーディオショウには出展する。

東京でのオーディオショウにはもう出展しないのか、と思っていたら、
今年のインターナショナルオーディオショウに出展する、という。

ジャーマン・フィジックスのスピーカーシステムも鳴らされはず。

Date: 6月 8th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その19)

ダイナコにはSCA35と同時代に、PAS3XとPAT5というコントロールアンプがあった。
パネルフェイスはどちらも同じで、PAS3Xが真空管、PAT5がトランジスター式だった。

どちらのコントロールアンプも、基本的なパネルのデザインはSCA35と同じと言える。

どちらのコントロールアンプもSCA35とほぼ同寸法で、専用のウッドケースが用意されていた。

PAS3Xをウッドケースに収めたのも、実際に見たことはない。
このことは実機を見て確かめたいところだが、もう五十年ほど昔のアンプだから、そういう機会は訪れないだろう。

なので写真での比較でしかないなのだが、SCA35にはウッドケースが必需品と感じるのに、
PAS3Xには、そういうことは感じない。

基本的なデザインは同じでも、ツマミの数はPAS3Xの方が多い。
SCA35だとウッドケース無しだと、ちょっとスカスカな印象があるが、
PAS3Xには同じことを感じたことはない。

SCA35は、何か、額縁を求める絵やポスターのような存在のようにも感じる。
ウッドケースという額縁があって完成するフロントパネル。
私にとってのSCA35は、そういう存在であり、そこに魅力を感じているのだと思っている。

Date: 6月 7th, 2025
Cate: ステレオサウンド

ステレオサウンド 235号

ステレオサウンド 235号をKindle Unlimitedで読み終って、一つ気にかかることがある。

傅 信幸氏の登場が、かなり少ないことだ。

Date: 6月 7th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その18)

昨夜の投稿を読まれた方の中には、
ダイナコ SCA35と検索された方もおられよう。

ずいぶん昔のアンプである。
1977年で、62,300円のプリメインアンプで、
外形寸法はW34×H10.8×D26.7cm、重量は8.5kg。
使用真空管は12AX7(二本)、7199(二本)、6BQ5(四本)という構成。
出力は17.5W+17.5Wと、決して本格的なプリメインアンプではなかった。

同時代の、ほぼ同価格の国産アンプにはサンスイのAU607があった。

SCA35を検索して、その写真を見た人は、こんなデザインなのか……、期待はずれだ、と思われたかもしれない。

ダイナコの製品はローコスト機であった。キットも用意されていた。SCA35も、その例に漏れず、お金のかかった作りではない。

おそらく市販のツマミを買ってきてフロントパネルに配置した、それだけのデザインと言えそうな出来だ。

高級感があるわけではない。
そんなプリメインアンプなのだが、専用のウッドケースDW2(7,500円)に収めた姿は、なかなかいい。

私はどちらかというとウッドケースは好まない。
そんな私でもQUADの33とFM3を専用のウッドケースに収めたのと、
このSCA35は例外といえ、SCA35に関してはウッドケース込みでのデザインで受け止めている。

とはいえ実際にDW2に収まったSCA35は、写真でしか知らない。
SCA35は、一時期使っていた。シーメンスのコアキシャルを鳴らしていた。
DW2無しだった。

Date: 6月 6th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その17)

その16)にコメントをもらっていた。

そのコメントの最後に《宮崎さんの思う真空管プリメインアンプのベスト・デザインを、ぜひ教えてください。また、その理由についてもお聞かせいただけると嬉しい限りです!》とある。

真空管プリメインアンプのベストデザイン、これがけっこう難しい。
あれこれ、いろんなプリメインアンプの顔を思い浮かべていたのだが、
これこそベストデザインというアンプはない──、
それがいまのところの結論となる。

ベターデザインならば、いくつかある。
その中で、いま手元に置きたいモノというふうに考えてみた。

私が初めて聴いた真空管プリメインアンプは、ラックスのLX38。
熊本のオーディオ店に瀬川先生が来られた時に聴いている。この時、私のリクエストで、スペンドールのBCIIとピカリングのXUV/4500Qとの組合せで、もう一度鳴らしてもらった。
この時のことは別項で書いているので詳細は省くが、瀬川先生から「玄人の組合せ」とお褒めの言葉をいただいた。

だからLX38には思い入れがある。そのデザインもベターデザインとは思っているけど、
ベターデザインと感じているモノの中から、一つだけ選ぶとなるとは、LX38ではない。

ベターデザインの感じているモノの中から一つだけ、ということが、
いわば準ベストデザインとなるのではないか──と考えると、
選ぶのはダイナコのSCA35である。

Date: 6月 5th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜

7月のaudio wednesdayは、第一水曜日ではなく第二水曜日の9日になる。

まだテーマは決めていないけれど、9日の天候(気温)次第では、やりたいことがある。

なので、いま二つのプランを持っている。今月下旬には、はっきりする。

Date: 6月 5th, 2025
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その17)

昨晩のaudio wednesdayは、
フランコ・セルブリンのKtêmaを、野口晴哉記念音楽室(野口晴哉氏リスニングルーム)で鳴らした。

私が、野口晴哉氏のこと、そのリスニングルームを初めて知ったのは、
以前も書いているように、1976年12月に発売された「世界のオーディオ」だった。

その一ヵ月ほど前に、私は「五味オーディオ教室」に出逢っていた。
オーディオの知識が、そんなにあったわけではない。
野口晴哉氏がどういう人なのかも、当時、中学二年生の私は全く知らなかった。
最初は、野口晴哉をのぐちせいや、と思っていたくらいだ。
晴哉(はるちか)なのを知ったのは、けっこう経ってからだった。

何の知識もなく、野口晴哉氏リスニングルームの写真を見て、すごい、と思っていた。

その空間で、Ktêmaを鳴らしたことも、私にとっては、オーディオのロマンの一つであった。

Date: 6月 4th, 2025
Cate: audio wednesday

カルロス・クライバーのシューベルト

今日は、audio wednesdayだった。
野口晴哉氏のリスニングルームで鳴らすフランコ・セルブリンのKtêma。

いろんな曲を聴いた。
どの曲が、印象深く心に響いたかは、人によって違うはず。

私にとっては、カルロス・クライバーとウィーン・フィルハーモニーによるシューベルトの「未完成」が、そうだった。

こんなに美しい響きなのかと陶然となって、聴き惚れていた。
今日は、この曲だけで、もう充分だ、と思うほどに、美しいのは、この部屋のおかげなのだろう。

陶然となりながら思い出していたのは、数ヵ月前に読んだ内田光子のインタビュー記事だった。

「神の存在は信じないけれど、シューベルトを演奏してる時は、もしかしたらいるのかもしれないと思ってしまいます」

そんなことを語っていたと記憶している。

Date: 6月 3rd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室・いよいよ明日)

明日(6月4日)のaudio wednesdayでは、これまで四回鳴らしてきているフランコ・セルブリンのKtêmaを、
これまでの空間ではなく、故・野口晴哉氏のリスニングルーム(野口晴哉記念音楽室)で鳴らす。

どういう音(響き)で鳴ってくれるのか、
なんとなく予想できると言えばできなくもないが、
それでも音は実際に鳴ってきたのが、全てで、
それがたまたま予想の範囲、もしくは延長線上にあるのか、
そうでないところで鳴ってくれるのか、
私自身、とても楽しみにしている。

今回もリクエストを受けつける。

Speaker System: FRANCO SERBLIN Ktêma + ELAC 4PI PLUS.2

Control Amplifier: EINSTEIN The Tube II

Power Amplifier: Viola Forte

CD Transport: Accuphase DP100

D/A Converter: Meridian ULTRA DAC

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。