2022年の最初に
今日は1月1日だから、四週間後には一つ歳をとる。
一年と四週間後には、さらに一つ歳をとって、六十になる。
還暦か……、と自分でも驚く。
それだけ生きてきても、いままでやってこなかったことはいくつもある。
山ほどある、といってもよい。
誰だってそうである。
未体験・未経験のことのほうが、体験・経験したことよりもずっと多いはずだ。
なので嘆くことではないと思っているのだが、
意外にも、初めてだったのか、と気づいたことがあった。
昨年の12月31日に日付が変ったころ、深夜に、手紙を書いていた。
書いていた、といっても手書きではなく、iPhoneで入力していた。
ある人に想いを伝える手紙だから、
ラヴレターと呼ばれる類である。
書き始めてすぐに気づいたことがある。
生れて初めてのラヴレターであることに、気づいた。
これまでの人生で、想いを寄せた人に告白したことはもちろんあるが、
ラヴレターでの告白ということは一度もしてこなかった。
自分でも意外だった。
この歳になって、初めて書いている。
ならば便箋を選んで、きちんと手書きにしろよ、と自分でも思ったりしたわけだが、
でも、もしそうしていたら、手が震えて、何回も書き直していただろうし、
そうしているうちに書くのをやめてしまっていたかもしれない。
初めてのラヴレターなのに、iPhoneで書いて、書き終ったらすぐに送信。
味気ないといわれれば否定しないけれど、
だからこそ相手に送れた、という面もある。
いまの若い人たちは、ラヴレターを書いているのだろうか。
そんなことも思っていたし、
私と同じ世代、上の世代の人たちは、やはり書いていたのだろう、とも思っていた。
どれだけの人が書いていたのか、わからない。
親しい人との会話でも、そのことが話題になったことはない。
みんな書いていたのだろうか。
とにかく、私は六十をほぼ一年後に迎えるいま、初めて書いた。
新しい経験だったわけだ。
ここからがオーディオのことだ。
ラヴレターでもそうだったわけだから、
オーディオに関しても、同じことがあるはずだ。
やっていたつもりなのに、まだ経験してこなかったことがきっとある。
六十までの一年と四週間、
その間に、オーディオに関しての、そういうことを見つけ出していこう、と思っている。