Date: 1月 30th, 2015
Cate: 現代スピーカー
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現代スピーカー考(その34)

柔よく剛を制す、と昔からいわれている。
これがスピーカーの世界にも完全に当てはまるとまでは私だっていわないけれど、
柔よく剛を制すの考え方は、これからのスピーカーの進化にとって必要なことではないか。

これに関連して思い出すのは、江川三郎氏が一時期やられていたハイイナーシャプレーヤーのことだ。
ステレオかオーディオアクセサリーに発表されていた。
慣性モーメントを高めるために、中心から放射状にのびた複数の棒の先に重りがつけられている。
重りの重量がどのくらいだったのか、放射状の棒の長さがどれだけだったのかはよく憶えていない。
それでもガラス製のターンテーブルとこれらの組合せは、写真からでも独特の迫力を伝えていた。

ターンテーブルの直径も30cmではなく、もっと大きかったように記憶している。
トーンアームもスタックスのロングアーム(それも特註)だったような気がする。

慣性モーメントを大きくするという実験のひとつの記録かもしれない。
メーカーも同じようにハイイナーシャのプレーヤーの実験は行っていただろう。
だからこそターンテーブルプラッター重量が6kgから10kgのダイレクトドライヴ型がいくつか登場した。

慣性モーメントを高めるには、同じ重量であれば、中心部よりも外周部に重量が寄っていた方が有利だし、
直径の大きさも効果的である。
その意味で江川三郎氏のハイイナーシャプレーヤーは理に適っていた、ともいえる。

そのころの私は、江川三郎氏はさらにハイイナーシャを追求されるだろうと思っていた。
けれど、いつのころなのかはもう憶えていないが、ハイイナーシャプレーヤーは処分されたようであるし、
ハイイナーシャを追求されることもなくなった。

なぜなのか。

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