My Favorite Things(チューナー篇・その12)
ステレオサウンド 43号の特集は、ベストバイだった。
「五味オーディオ教室」で出逢って一年未満の私にとって、43号は本当に面白かったし、何度読み返したことか。
ベストバイはステレオサウンドの恒例の特集となっていまも続いているし、今後もずっと続いていくだろうが、
ベストバイという特集は、43号がいまも一番といえる。
価格帯で分けたり、星をつけたりしても43号を超えることはない。
43号を持っている人は、いまのステレオサウンドのベストバイと比べてみるといい。43号では熱っぽさが誌面から伝わってきた。いまは、それがない。
編集部、オーディオ評論家の熱が感じられない。
もし43号が、いまのようなベストバイの号だったら、私はくり返し読まなかっただろう。
こんなことを書くと、当時のオーディオ機器の価格と、いまのオーディオ機器の価格があまりにも違いすぎて──、そんなことをいう人がいるだろうが、そんなことではない。
そのことがわかっていないから、こんなベストバイしか作れなくなったのだろう、と思うしかない。
話が逸れてしまったついでに書いておくと、書き手の怠慢ともいえる。それが、どういうことかは、別項で書く予定。
とにかく43号は熱心に読んだ。当時、中学三年生だった私は、女性ヴォーカルが最優先だった。
グラシェラ・スサーナの歌を、うまく鳴らしたい。そればかりを考えて43号を読んでいたので、
ベストバイに選ばれたモデルの、各オーディオ評論家の文章から、そのことを読みとろうともしていた。