妄想組合せの楽しみ(ステレオサウンド 221号を眺めながら・その1)
以前、「瀬川冬樹氏のこと(その11)」で、
瀬川先生が地方への移動中、よくやられていたことを書いている。
地方のオーディオ店への旅の友は、ステレオサウンドから、
当時は年二回出ていたHI-FI STEREO GUIDEと電卓で、
組合せの予算やテーマ(鳴らしたいレコードや、どんな音を出したいか)などを自分で設定して、
ページをめくり、このスピーカーに、あのアンプ、カートリッジはこれかな、と想像していく。
楽しくて、いい時間つぶしになる、と話されていた。
私も同じことを学生のころ、よくやっていた。
私だけではないだろう、同じことをやっていた、という人はきっといる。
いまステレオサウンドからHI-FI STEREO GUIDEは出ていない。
かわりとなるムックもない。
ステレオサウンドのベストバイが、少しは役に立つかな、ぐらいでしかない。
それでもないよりは、ずっといいわけで、
ゴールデンウィーク中、221号を眺めながら、組合せをいくつか想像していた。
予算に制限がなければ、どういう組合せにするだろうか。
まずスピーカーシステムを決める。
誌面を眺めると、聴いたことのないモデルがけっこうある。
なので、誌面に写真が掲載されている機種からの選択にする。
こうやって組合せを考えて眺めることで、気づいた。
JBLのモデルがほんとうに少ない。
DD67000も、S9900もない。
ではタンノイは? と思ってみると、もっと驚く。
ないのだ。写真掲載という扱いではゼロである。
個人的に、いまのタンノイのモデルで鳴らしてみたい、と思うのは、
ほんのわずかである。
なので、その結果(扱い)に寂しさを感じたりはしないが、
それでもこんなに一年で様変りするのか、とは思って、
確認のために217号をながめてみると、今年とそう変らない状況だった。
フランコ・セルブリンのAccordoかKtêma、
それからファイン・オーディオのF1-12、これらを鳴らしてみたい。
アンプは、というと、パワーアンプだといくつかか選べる。
けれどコントロールアンプとなると、予算に制限がないとはいえ、
使いたい、と思う機種が、写真掲載のなかにはない。