SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインプアンプ(その2)
1970年代、オーディオ用に半導体まで開発していたメーカーだったヤマハも、
一時期、オーディオへの積極的な関わり合いから離れていた。
それがA-S2000の開発により、またヤマハが戻ってきてくれた、という印象は多くの人が受けたことと思う。
CA2000に憧れていた中学生は30年以上経ったいま、
A-S2000に期待しながらも、その憧れは、残念なデザインによって消え去ってしまった。
それ以上の関心を、A-S2000には持てなかった。
そういうことなので、A-S2000がオーディオ雑誌でどういう評価を受けていたのかも知らない。
ただステレオサウンド 181号、
つまり昨年の暮れに出たステレオサウンド・グランプリとベストバリューが特集の号では、
掲載されてはいるけれども、それほど高い評価とはいえない。
A-S1000とともに20万円未満の価格帯にはいるA-S2000を推薦しているのは、三浦氏と和田氏のふたりだけ。
A-S1000は柳沢氏だけである。
この価格帯で評価が高いのは、オーラのvita、マランツのPM15S2、デノンのPMA2000SEなどである。
vitaは6人、PM15S2は5人、PMA2000SEは4人による推選である。
正直、私も、この評価に納得していたところがある。
デザインだけで関心を失い、それ以上、どういうアンプなのかについて調べもせずに、
だから音を聴くこともなく、ステレオサウンドの評価に同意していたわけだ。
そんなプリメインアンプを、こうやって取り上げているのは、
つい先日調べものをしていたら、A-S2000、A-S1000のパワーアンプ部に採用された回路が、
SUMOのThe Goldと基本的に同じことに気がついたからである。
ヤマハのサイトには、A-S2000のパワーアンプの回路を、フローティング&バランス式と名付けている。
そして概略図が載っている。
詳細な回路図を見ないことには、どこまでThe Goldと同じなのかははっきりしないが、
パワーアンプの出力段にフローティング電源を片チャンネルあたり2組用意しているところ、
そして一般的なプッシュプルがNPN型トランジスターとPNP型トランジスターを使うのに対し、
NPN型トランジスターのみを使っている点も、The Goldそのままである。