SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その10)
パワーアンプのウォームアップには、
静的なウォームアップと動的なウォームアップとがあり、
静的なウォームアップに関しては電源スイッチをオンにしておけばそれで足りるわけだが、
動的なウォームアップとなると、実際に音を出しながら、ということになる。
オーディオには、このように静的なと動的な、と頭につけたくなることが意外にある。
音のクォリティにしてもそうだ。
静的なクォリティと動的なクォリティがある、といえる。
静的なクォリティと動的なクォリティは、いくつかの意味にわけられる、と考えている。
そのひとつとして、ここで書いておきたいのは、
静的な特性、動的な特性とほぼ同じ意味での、静的なクォリティ、動的なクォリティである。
簡単にいってしまえば、動的なクォリティは、ここでは音楽を聴いてのクォリティということになる。
では静的なクォリティとは、なにかといえば、
静的な特性の測定に使われるのがサインウェーヴがメインであるように、
そんな意味での静的なクォリティである。
ケーブルを変えても音は変化しない、と頑なに主張される人の中には、
よく測定結果を持ち出す人がいる。
そして、測定上の差はほんのわずかであり、そのわずかな差は人間の耳では感知できない、という、
非常に乱暴なこじつけでもって、音は変らない、と結論づけられる。
なぜ、わずかな差は人間は感知できない、と言われるのかが、まずわからない。
その人はわからない、のであれば、納得できても、なぜか、すべての人という意味で「人間は」と書かれる。
そしてもうひとつ不思議なのは、測定上の差はごくわずかといわれる、
その測定に使われるのはサインウェーヴがほとんどだということ。
音楽信号を使っての測定方法が確立されていない以上、サインウェーヴ、パルスを使うのはわかる。
でも、あくまでもそれらを使っての測定結果は、音楽を再生したときの結果を反映しているとは、
誰にもいえない、ということである。
サインウェーヴで測定したら、ケーブルを変えた差はごくわずか。
だから音楽を聴いても音は変らない、は、理屈として通らない。
この場合、理屈として通るのは、
サインウェーヴを再生して聴いたら、ケーブルの違いはわからない、ということでしかない。
それならば、私も納得できる。
私だって、サインウェーヴ(たとえば1kHzのみのサインウェーヴ)のみを音源として、
ケーブルの違いを聴き分けろ、といわれたら、自信がない。
だが何度でも書くが、聴くのは(聴きたいのは)音楽である。