私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その7)
ガラード301、401とトーレンスTD124の違いは、
トーレンスには専用キャビネットが用意されていた、ということもある。
TD124を専用キャビネットにおさめた姿は、昔も今も見ていると欲しくなる魅力を放っている。
トーンアームが3012-Rというロングアームでなければ、
TD124にしてしまいたい、とすら思ってしまうほど、いいプレーヤーだと思う。
でも、そうするとトーンアームは限られてしまう。
TD124と専用キャビネットの組合せによく似合うのはSMEの3009、
それともEMTの929ぐらいである。
これはこれで私にとって魅力的なプレーヤーシステムとなるけれど、
3012-Rを中心にプレーヤーシステムの構築を考えていたのは、
一にも二にも、ステレオサウンド 58号での新製品紹介の頁での瀬川先生の書かれた文章を読んだからであり、
この文章が頭から切り離すことができなかったわけだから、
私にとって、この時期のプレーヤーシステムは、3012-Rがつねに中心にあった。
散々あれこれ迷って、結局何を選んだかは、
これも以前書いているから憶えておられる方もいるだろう、マイクロのRX5000 + RY5500だった。
できれば瀬川先生が3012-Rの試聴をされたときのターンテーブル、
同じマイクロのSX8000にしたかったのだが、それを買えるほどの余裕はなかった。
RX5000も中古で、かなり安く購入したものである。
はっきり書けば、SX8000(のちのSX8000IIではなく初代のモデルで、ベースが青色)にしても、
RX5000にしても、3012-Rのデザインと肩を並べるモノではない。
だから、正直、これか(RX5000)という気持を持ちながらの購入だった。
とはいえ、オーディオマニアゆえ、自宅にRX5000とRY5500が届いたときは、
これでやっと3012-Rを箱から取り出して、トーンアームとして機能させられる、と喜び、
その取付け作業は、楽しかった。
RX5000のベースを設置、砲金製のターンテーブルをそこにのせる、
それからトーンアームベースを仮止めして、3012-Rの取付けテンプレートで向きをきっちりと決める。
3012-Rをベースに取り付けたら、カートリッジもセットしてオーバーハングの調整。
モーターのRY5500もセットする。
このころはSX8000が登場していたおかげで糸ではなく、専用のベルトが登場していた。
砲金製のターンテーブルプラッターの周囲をきれいにクリーニングしてベルトをかける。
そしてRY5500の位置を、このあたりかな、というところでとりあえず決めて……、
こんな作業を、はやる気持を静めながら行っていたことを、思い出していた。