SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その5)
フローティング電源はその名の通り、電源ラインの片側がアースに接続されていない。
そのためフローティング電源を採用するのであれば、
フローティング電源の数だけの電源トランスの巻線が必要となる。
アースに片側が接続されている通常の電源であれば、
トランスの巻線は左右チャンネルで共通化できる。
セパレーション向上のために巻線を独立することも多く見受けられるが、
独立させなくてもアンプは動作するのに対して、
フローティング電源はそうはいかない。必ず独立させていなければならない。
だからSUMOのThe GoldもヤマハのA-S2000、A-S1000も、
フローティング電源のため、出力段用の巻線を4つ用意している。
The Goldもヤマハのプリメインアンプも、
出力段のNPN型トランジスターへの電源供給ラインは、
一種のタスキ掛けといえる結線になっている。
フローティング電源の片方のラインが+側のトランジスターのコレクターに、
もう片方は−側のトランジスターのエミッターへと接がっている。
片チャンネルあたりフローティング電源は2つ必要なので、
もうひとつのフローティング電源は、
+側のトランジスターのエミッターと−側のトランジスターのコレクター、というふうになっている。
このところが真空管の一般的なプッシュプル動作と異るわけだが、
真空管アンプに、こういう回路のアンプがなかったかというと、そうでもない。
エレクトロボイスのアンプに、出力管に6V6、EL84、6BG6などを採用したプッシュプルアンプ、
Wiggins Circlotron Power Amplifierがある。