輸入商社なのか輸入代理店なのか(その1)
いま輸入商社を名乗っている会社は、いったいどれだけあるのだろうか。
オーディオがブームだったころよりも、輸入商社の数は多い。
1970年代にあった輸入商社の名前は、当時はすべて記憶できていた。
いまはどうかというと、いったいどれだけをあるんだろうか……、と思ってしまうほどに、
規模の小さなところが増えていて、正直、すべての数を把握できていない。
なぜ、こんなにも数は多いのだろうか。
そして、それらのうち、輸入商社とは呼べないところも、いくつかあるように感じている。
そこが輸入しているオーディオ機器を購入したわけでもないし、
私のまわりにも、そういうところからオーディオ機器を購入した人もいないから、
固有名詞を出すことは控えるものの、
そういうところは輸入商社ではなく、輸入代理店ではないか、と思える。
輸入商社は、
優れたオーディオ機器をつくっている海外のメーカーを見つけて契約し、日本に輸入するわけだが、
輸入するオーディオ機器は、必ずしも商品であるわけではない。
海外で、そのオーディオ機器は商品として市場に流通していても、
それをそのまま日本に持ってきたからといって、日本でも商品と成り得るかといえば、そうでないこともある。
輸入商社は、ただ輸入するだけではなく、
日本において、そのオーディオ機器が商品となるようにしていくのが輸入商社としての仕事ではないだろうか。
輸入商社が輸入するオーディオ機器は、どんなに海外で商品として通用していても、
あくまでも輸入の時点では製品だと思う。
その製品を商品としていくのが輸入商社であり、
製品を製品のまま市場に出してしまうのは、輸入代理店としか呼べない。
これは会社の規模とは直接関係のないことだ。
海外で、いいオーディオ機器を見つけた。うまく契約できた。輸入した。
それだけでも、商品として通用するモノもないわけではない。
だけど、そういうモノばかりではない。
海外のブランドの中には、輸入元がたびたび変るところがある。
これはどういう事情なのかは、すべてが同じというわけではないだろうし、
いくつもの事情があるとは思う。
それでも自社の製品を商品とすることができない輸入商社が輸入元だとしたら、
商品としていくための仕事をしてくれる輸入元へと移りたくなるのではないだろうか。