音の毒(オイロダインのこと・その1)
音の毒、もしくは毒のある音。
シーメンスのオイロダインを知った時から、ずっと頭のなかに居続けている。
ステレオサウンドの姉妹誌であったサウンドボーイの編集長のOさんは、
シーメンスのオイロダインに惚れ込んでいた人で、鳴らしていた人である。
そのOさんのいっていたことで、いまも憶えている、
そして昨晩、わずかな時間ではあったけれどオイロダインの音を、
野口晴哉記念音楽室で聴いて、思い出していた。
Oさんは、歌舞伎でもある、と。
歌舞伎、つまり女形である。
男性が女性を演じる。
そのことによってうまれてくる毒みたいなものが、オイロダインの音にはある、と。