JBL 4343、ふたたび(その1)
1月8日のaudio wednesdayでは、11月に続いて4343を鳴らすことができた。
今回は、ライヴ録音のみをかけた。
スタジオモニター用としてつくられた4343で、ライヴ録音のみを鳴らす。
1982年に一冊の本が出た。
「WHY? JBL」という本が、オーディオとはまったく関係のない出版社から、
しかも女性の筆者だったこともあり、
オーディオマニアの間だけでなく、オーディオ業界でも、
けっこう話題になっていた。
ステレオサウンド編集部にも一冊あったが、
この時の編集者は、ほぼみんな買って読んでいた。
私も買って読んだ。
その本に、こんなことが書かれていた。
アメリカのコンサートで、終了後、
会場から出てくる女性の頬が紅潮している、とのことだった。
JBLのスピーカーが使われているコンサートにおいて、である、と。
この記述を読んで、JBLの音はセクシーなのかもしれない──、
そんなふうに思っていた。
音楽は、人の肉体運動から生まれてくる。
そのことを音だけの世界だと、忘れてしまいがちになるが、JBLのスピーカーは、そのことを聴き手にはっきり思い出させる。
いまのJBLのスピーカーが、全てそうだと言わないが、
あのころのJBLの音は、そうといえたし、
だからこそセクシーと感じる人がいるのだろう、頬を紅潮させるのだろう。
それでもJBLをひどく鳴らしてしまうと、無機的な音になってしまう。
そんなことを昔、思っていた。
だから、ライヴ録音のみに絞った。