FRANCO SERBLIN Ktêma(その7)
スピーカーからの音を聴いているとき、
目の前を人がよぎれば、音は変化して聴こえる。
どんなに音に無頓着な人でも、
目を閉じて聴いていたとしても、
スピーカーと自分との間を誰かか歩いていくわけだから、
音が変化するのは、わかるものだ。
ただスピーカーによって変化量は違ってくる。
Ktêmaは、その変化量が少ない。
音が変化しないわけではないが、極端に変るスピーカーもけっこう数多く存在するなかで、
Ktêmaは変化量の、かなり少ないスピーカーといえる。
エンクロージュアの形からくる効果なのか、独特のユニット配置からくることなのか、
これら二つがうまく作用してのことなのか、
いまのところなんとも言えないし、どういうことをもたらしているのか、
そのこともわからないが、
これからKtêmaを聴く機会がある人は、このことにも関心を払ってほしい。