アレクシス・ワイセンベルク(その1)
ここ数日、TIDALで集中的に聴いているのが、アレクシス・ワイセンベルクである。
これまでワイセンベルクの録音は、ほとんど聴いてこなかった、といっていい。
もちろんゼロではない。
それでも好きな演奏家の録音を聴いてきた回数からすれば、ゼロに近いといっていい。
なぜ聴かなかったかというと、カラヤンと協演しているピアニスト、
その印象が強かったからだ。
「五味オーディオ教室」の影響が大きすぎる私にとって、
カラヤンの評価も、五味先生の影響が大きい。
アンチ・カラヤンというわけではないが、
カラヤンの録音で積極的に聴いているのは、
五味先生も絶賛されていた初期のころと、
それから五味先生が聴かれていない最晩年のころの演奏(録音)である。
ワイセンベルクは、私があまり聴いてこなかった時代のカラヤンとの協演が多い。
それに、なんとなくだが、正確に演奏する人というイメージが、
決していい方向ではなく、どちらかといえばネガティヴなほうに働いてもいた。
嫌いでもない(それほど聴いていないのだから)。
好きでもない。
なのに、ここ数日は聴いている。
TIDALがあるから、聴いている。
聴くきっかけは、グレン・グールドの言葉をふと思い出したからだった。
グールドは、ワイセンベルクは、どんな曲でも聴く気にさせる、
そんなことをいっていたからだ。
それもずいぶん前に読んでいた。
そのときに、ちょっとだけワイセンベルクを聴いてみようかな、と思いもした。
けれど、他に聴きたいディスクを優先しすぎて、
誰かとの協演して録音で聴くぐらいだった。
いまは違う。
TIDALで、かなりの録音を聴ける。
ワイセンベルクのソロも聴ける。
聴いて、グールドのいっているとおりだ、と思っていた。
今回はじめて知ったのだが、
ワイセンベルクはパーキンソン病を患っていた。