SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その12)
ハルアンプのIndependence TypeIIは、
ステレオサウンド 50号の新製品紹介の記事に登場している。
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井上 ノスタルジックな音は一切なく、強烈なパルス成分をしっかりと再現して、最新のプログラムソースにも十分対応できるだけの能力をもっていますし、また音像が立体的に立ち並んで自然な音情感を聞かせてくれるといった点が、最新の真空管アンプならではのところです。
山中 音と音の切れ目が完全にあるので、おそらく立体感を感じさせるのでしょうね。
井上 楽器の演奏にともなうノイズも、演奏音のなかに埋ずもらずにしっかりと出ますし、妙に人工的に音の輪郭や細部をきわだたせたりしませんね。再生音楽といってもこの製品は、実際の音楽のもつニュアンスを聴かせる性格をもっています。従来の国内の管球式アンプの枠を破って、前向きに真空管をとらえて開発された、その姿勢に魅力を感じる製品です。
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Independence TypeIIは51号の439ページに載っている。
となりの438ページには、マッキントッシュのC29が載っている。
Independence TypeIIが376,000円、C29が438,000円。
ほぼ同価格帯のコントロールアンプがとなり同士で掲載されていて、
高校生だった私は、Independence TypeIIのほうに強く惹かれていた。
井上先生が語られている《従来の国内の管球式アンプの枠を破って》、
これはラックスのアンプのことだな、と思いながら読んでいた。
その意味でも、コンラッド・ジョンソン、
プレシジョン・フィデリティと同じ新しい世代の管球式アンプ、
それも国内から登場した初の、そういうアンプが、
私にとってはIndependence TypeIIだった。
コントロールアンプとしての機能は、C29が上だし、
コントロールアンプとしての完成度もC29のほうと、当時も思っていたけれど、
どちらの製品に惹かれるかは、そういうこととはほとんど関係なく、
まずは第一印象こそである。
つまりはパネルデザイン、その製品が醸し出す雰囲気である。
Independence TypeIIは、SAEのMark 2500と組み合わせてもよく似合う。
並べてみたことはないが、想像するに、なかなかいい感じである。
ただし、くり返すが音は聴いたことがないので、なんともいえないが……。