情報・情景・情操(音場→おんじょう→音情・その5)
金井克子の「他人の関係」は1973年、
1974年には映画「エマニエル夫人」が公開されている。
公開時、私は十一歳だったから、観たくても観れなかった。
けれど、「エマニエル夫人」のポスターのインパクトは強かった、というより凄かった。
映画のポスターは、映画の数だけ、というよりも、
同じ映画でも国によってポスターが違うこともあるし、
何種類かのポスターが用意されたりもするから、
映画の数の数倍のポスターが世に出ているわけで、そのすべてを見ているわけではない。
映画のポスターとしてのデザイン、
どの映画のポスターが優れたデザインとか、そういうことはいえないが、
少なくともインパクトの強さに関していえば、「エマニエル夫人」のポスターだ。
籐の椅子にシルヴィア・クリステル演じるエマニエル夫人が坐っている。
いまでは、当時の各国の「エマニエル夫人」のポスターが、検索すれば見れる。
日本の「エマニエル夫人」のポスターは、評価が高い、らしい。
いま見ても、そうだろうな、と思う。
「エマニエル夫人」のポスターが、ポスター・デザインとして、どう評価されるのか、
そういうことは関係ないところで、これほど印象深く記憶に残っているものはない。
けれど、このポスターは、あの時代だったから、街中にも貼られていて、
当時小学生だった私の目にも留まったわけだ。
いま「エマニエル夫人」がリメイクされて公開されたとしても、
もう、あのポスターは無理であろう。