Date: 7月 12th, 2021
Cate: 戻っていく感覚
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SAE Mark 2500がやって来る(2500とM6000のこと・その4)

ラックスのM6000の容積と
マッキントッシュのMC2300の容積を比較すると、M6000の方がわずかに小さい。

重量もMC2300は58.1kgだから、これもM6000のほうが6kgほど軽い。
しかもMC23000はファン付き、M6000はファン無し。

MC23000はオートフォーマーを含めてトランス類の数は三つ、
M60000は電源トランスが二つ。
その分、チムニー型の鋳物によるヒートシンクを持つ。

こんなふうに比較していくと、M6000はMC2300を意識していたように思えてくる。

M6000が登場した1975年のステレオサウンドのムック「世界のオーディオ」のラックス号、
ここで、井上先生がM6000について語られている。
     *
 私はこのアンプを見たときに、ラックスのハイパワーアンプに対する姿勢が、かなり他社と違っていることを、一番感じたわけです。というのは、いままで、ハイパワーアンプというのは、主として、「業務用」とか、プロフェッショナル用とかいう、お墨付きをもらったもの、もしくは、その方向を志向した製品が多かったでしょう。これが、ラックスの場合には、あきらかに、コンシュマーユースという目的にしぼったデザインをしていますよね。ここに、このM6000の現時点での特異性があると思います。
     *
マッキントッシュのMC2300は、管球式のMC3500のソリッドステート版である。
MC2300と、同じマッキントッシュのほかのパワーアンプとは風貌からして違う。
いわゆる「業務用」としての役割を果たせるアンプである。

MC2300を意識しながら、MC2300とは好対照な存在。
それがラックスのM6000というアンプだと思う。

SAEのMark 2500は、というと、
19インチのフロントパネルからも、プロフェッショナルということを意識しているはずだ。

それゆえに強制空冷であるし、
電源トランスの一次側には、通常のフューズだけでなく温度フューズも使われている。
温度フューズを嫌うメーカーは多いなかで、アメリカ製としては珍しい。

Mark 2500の基本設計がジェームズ・ボンジョルノということで、
Mark 2500も動作が不安定で、よくスピーカーを壊すアンプだと思い込んでいる人が、
どうも日本のオーディオマニアはいる。

Mark 2500が不安定なアンプだということは、いままで聞いたことがないし、
ステレオサウンド 41号で、瀬川先生は、
《中でも300W×2のMARK2500は、動作の安定なことはもちろんだが、その音質がすばらしく、出力の大小を問わず現代の第一級のパワーアンプである》
と書かれている。

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