THE MOATのこと
ボンジョルノがGASを離れてSUMOを設立して発表したモデルは、
パワーアンプのThe Power、The Goldのほかに、THE MOATがあった。
THE MOATはパワーアンプではない。
ブリッジ接続アダプターである。
つまり入力はアンバランスで出力はバランスになっている。
ゲイン0dBのユニティアンプで構成されている。
THE MOATのmoatは、堀、環濠という意味である。
ブリッジ接続アダプターの名称としてぴったりだとは思わない。
おそらくmoatは、日本語の「もっと」だと思っている。
会社名を相撲が好きだからという理由で、SUMOとするくらいのボンジョルノだから、
パワーアンプをブリッジ接続することでパワーアップできるのだから、
もっとパワーを、という意味を込めての「THE MOAT」のはずだ。
そう確信するのにはひとつ理由がある。
THE MOATは左右のバランス出力のほかに、センター出力も持つ。
センターチャンネル用のレベルコントロール(±6dB)がついている。
パワーを「もっと」だけでなく、再生チャンネル数も「もっと」のはずだ。
1979年ごろのボンジョルノは、センターチャンネルを加えた再生を試していたのだろう。