GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その13)
アンプ(amplifier)は増幅器。
入力された信号を増幅して出力する電子機器である。
ふだん何気なく増幅という言葉を使っているけれど、
増幅とは、幅を増す、と書く。
何の幅なのか、といえば周波数レンジ、ダイナミックレンジ、
このふたつの幅ということになろう。
けれどどんな高性能なアンプであっても、
入力された信号の周波数レンジを拡大するようなことはしない。
ダイナミックレンジに関しても同じだ。
ダイナミックレンジが60dBの信号が入力されたとして、
出力には70dB、もしくは80dBのダイナミックレンジの信号が現れるわけではない。
60dBのダイナミックレンジの信号は、そのままダイナミックレンジ60dBのまま、
電圧、もしくは電力が増えて出力される。
その意味で考えれば、増幅という言葉は、
正確にアンプの動作を言い表しているとはいえないところがある。
だがこれは理屈であって、アンプの中には、
特にパワーアンプにおいては、明らかにダイナミックレンジが増したように、
スピーカーを鳴らしてくれるモノがある。
これも正確にいえば、
他の多くのアンプがダイナミックレンジを狭めたようにスピーカーを鳴らすから、
対比として、いくつかのアンプはダイナミックレンジがそのまま再現されているであろうに、
ダイナミックレンジが増したように、
つまり幅が増した(増す)、という意味での増幅器がある。
なにもダイナミックレンジだけではない。
周波数レンジをも狭めたように聴かせるアンプがある。
そういうアンプからすれば、そのままの周波数レンジで鳴らすアンプは、
周波数レンジも幅を増したかのように思えないわけではない。
私がジェームズ・ボンジョルノのアンプに惚れている理由のひとつである。