シンプルであるために(その2)
どういう訳か、近ごろオーディオを少しばかり難しく考えたり言ったりしすぎはしないか。これはむろん私自身への反省を含めた言い方だが、ほんらい、オーディオは難しいものでもしかつめらしいものでもなく、もっと楽しいものの筈である。旨いものを食べれば、それはただ旨くて嬉しくて何とも幸せな気分に浸ることができるのと同じに、いい音楽を聴くことは理屈ぬきで楽しく、ましてそれが良い音で鳴ってくれればなおさら楽しい。
(虚構世界の狩人・「素朴で本ものの良い音質を」より)
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五年半前の(その1)も、同じ書き出しだ。
別項「218はWONDER DACをめざす(番外)」で書いていることが、
ここでの瀬川先生が書かれていることと重なってきたからだ。
《いい音楽を聴くことは理屈ぬきで楽しく、ましてそれが良い音で鳴ってくれればなおさら楽しい。》
まさにそうだった。
四人が、その場にいた。
みな同じだった(はずだ)。
この時のオーディオは、《難しいものでもしかつめらしいものでもなく》、
ただただ楽しいものだった。