シンプルであるために(ミニマルなシステム・その18)
CHORDのHUGOに接ぐのがソナス・ファベールのMinima Amatorではなく、
ロジャースのLS3/5Aだったら……、と想像してしまう。
見た目はMinima AmatorもLS3/5Aもそう大きくは違わない。
サイズも、ユニット構成も近い。
けれどネットワークは大きく違う。
LS3/5Aの特に15Ωのネットワークは、
6dB/oct.のネットワークからすれば、部品点数も多いし、
スロープ特性も、それからロス(損失)に関しても違う。
Minima Amatorのように、LS3/5Aは鳴ってくれるだろうか。
LS3/5Aを、昔GASのコントロールアンプThaedraで鳴らしたことは書いている。
精緻で緻密な音がした。
私にとって忘れられないLS3/5Aの音である。
Thaedraのラインアンプの終段は、
パワーアンプのドライバー段に相当するといえるもので、発熱量もかなりある。
電源も十分ゆとりのある構成だったからこそ、
LS3/5Aから、あの音が聴こえてきた、ともいえるところがある。
Thaedraのラインアンプと電源部と比較すれば、HUGOはスマートすぎる。
それに規模も小さい。
ネットワークが複雑なLS3/5Aをうまく鳴らせるのか、とどうしてもおもう。
うまく鳴るのかもしれない。
インピーダンス的には15Ωという値は、負荷としては軽くなる。
けれど……、という部分がどうしてもつきまとう。
オーディオは鳴らしてみなければわからないところがある。
LS3/5Aの15Ω版も、HUGOはうまく鳴らしてくれる可能性はある。
けれどMinima Amatorとのシステムほどにミニマルといえるだろうか。