Date: 8月 20th, 2017
Cate: 単純(simple)
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シンプルであるために(ミニマルなシステム・その22)

1970年の終りから1980年代にかけて登場してきた真空管アンプメーカー、
それもアメリカのメーカーのいくつかは、
ラインアンプを真空管の一段増幅で構成しているものがあった。

(その21)で書いた、FET一石のゼロバイアスのヘッドアンプ的な構成のラインアンプ。
どちらもこれ以上、部品点数を減らすことはできない、という回路構成。

こちらに関しても、シンプルな回路ゆえに音の劣化が少ない、
つまり音がいい、という人がやはりいる。

いいたいところはわからなくもないが、
真空管一段構成のラインアンプも、ほんとうにシンプルといえるのか。

その前に考えたいのは、FET一石のヘッドアンプも、
真空管一段増幅のラインアンプも、入力と出力の位相が反転している、ということ。

つまりどちらも逆相アンプである。

システム全体が正相であるか逆相であるか、
そのことによる音の違いははっきりとある。

本来的にはプログラムソースを含めての、システム全体が正相であるべきで、
録音によっては逆相のものもあるし、
部分的に逆相(マルチマイクロフォン録音で、一部のマイクが逆相)もあるし、
録音そのものは正相であっても、LP、CDが逆相になっていることもある。

トータルの位相管理は、1960年代からいわれていることである。
マランツの管球式パワーアンプModel 9には、だから位相反転スイッチが設けられている。

このシステム全体の位相管理での正相・逆相を、
何度説明しても、左右チャンネルが逆相になっていることと混同する人がいる。

あくまでも左右チャンネルは同相で鳴っていての、
その上でのシステム全体の正相・逆相のことである。

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