ブルックナーのこと(その1)
クラシックを、これまでずっと聴いてきた。
クラシックばかり、とまではいえないものの聴いてきたもののほとんどはクラシックであっても、
クラシックの作曲家といわれている人すべての曲を聴いてきているわけではない。
ほとんど聴かない作曲家もいる。
そのひとりが、私にとってはブルックナーである。
どうも苦手なのである。
それでもある時期(24から25歳のころ)、ブルックナーを集中して聴いたことはある。
フルトヴェングラーのレコードも当然聴いたし、
ブルックナーの名盤といわれているモノはけっこう聴いた。
ブルックナー好きでも熱心なブルックナー聴きの人たちのあいだで評価が抜群に高いシューリヒトも聴いた。
ちょうど、そのころシノーポリが来日してブルックナーの四番を指揮するので、それも聴きに行った。
それでも、ブルックナー好きの人たちが熱く語ってくれるブルックナーの良さを感じとれなかった。
その後も、ブルックナーのディスクも買わなかったわけではない。
他の作曲家に較べて買う枚数はぐんと少ないものの、買っては聴いていた。
そうやって歳もとっていった。
それでブルックナーの良さがわかるようになったかといえば、
ほとんど25のときと変っていない。
50になって、もうこのままブルックナーに夢中になることはないまま終るのか、ともおもう。
ここ数年、ブルックナーの新盤への興味もほぼ失いかけていた。
それでもいいかと思いつつも、ふと気づいた。
そういえば、バーンスタインのブルックナーはまだ一度も聴いていないことに。
バーンスタインのブルックナーの録音はあるのか調べてみると、
1990年にウィーンフィルハーモニーとのライヴ録音がいまも入手できる。
1990年はバーンスタインの最後の年だ。
このときウィーンフィルハーモニーを振ってのブルックナーである。
もしかすると、この演奏によってブルックナーへの認識を新たにするかもしれない。
変らないかもしれない。
バーンスタインの、このブルックナーだけはこれからも聴いていくことになるかもしれない。
どうなるかなんて、まったくわからない。
とにかく、できるだけ早く聴いてみることにしよう。