4343とB310(その8)
ずっと以前から、部屋の大きさとスピーカーシステムの大きさを合わせるのが、常識のようにいわれている。
小型スピーカーが、セレッションSL6以降の変化によって、
広い部屋で小型スピーカーを鳴らす人は、もう珍しくなくなってきてはいても、
その逆、つまり狭い部屋に大型のスピーカーシステムを持ち込むのは、バカげたことで意味のないことだ、
いまだ、そんな間違った考えに捕らわれている人はいるようだ。
そんな人たちの言い分のひとつに、狭い部屋では、そういった大型スピーカーの性能を発揮できない、というがある。
たしかに、広く、美しい響きの部屋、しかもつくりもしっかりとしている環境下で鳴らすのと、
狭く、響きの少なく、残響時間も短い部屋で鳴らすとでは、どちらがスピーカーの性能を発揮できるかといえば、
それは前者であることは、私も認める。
だが、スピーカーの性能を発揮させることが、オーディオの第一の目的だろうか。
自分のおかれている環境において、いい音をだすことが第一の目的のはずだ。
このふたつのことは似ていても、けっして同じではない。
このわかりきったことに気づけば、狭い部屋に大型スピーカーを持ち込む行為に、
とやかく言うことはできないはずだ。
そして部屋が狭いから……、などということで、使うスピーカーの選択を自ら狭くすることもない。