4343とB310(もうひとつの4ウェイ構想・その2)
なぜなんだろう……、と考えてまず浮んだのは、
High Technic シリーズVol. 1にも書かれていること。
フルレンジからはじまる4ウェイシステムでは、最終的に混成部隊となり、音色の統一感においては、
たとえばJBLの純正スピーカーユニットによる3ウェイにはかなわない。
だから帯域の広さではすこし不満を感じながらも、JBL(LE15A+375+537-500+075)でまとめられている。
だが、そのころとSOUND SPACEの発売時とでは、かなり状況が異る。
JBLからはプロフェッショナル・シリーズのユニットも多数用意され、
すでにJBLから4343、4350という4ウェイシステムまで出ている。
ウーファー(2231A)を2本並列使用であれば、4350と同じユニット構成で4ウェイが組める。
なのに、なぜミッドバスがないのだろうか。
しかも、もうひとつの疑問がある。ドライバーが2440ではなく2420だったことだ。
3ウェイで、ウーファーとのクロスオーバーが800Hz、しかもウーファーはダブル。
それに瀬川先生が使われていた3ウェイも375である。
それまでの4ウェイシステムでは、High Technic シリーズVol. 1に書かれているように175DLHを使われていた。
当時のステレオサウンドに載っている瀬川先生のリスニングルームの写真には、
ウーファー用のエンクロージュアのうえに、名残なのか、175DLHが下向きに立っているのが写っている。
ステレオサウンド 27号(1973年)掲載の「良い音は、良いスピーカーとは?」の第4回で、
このJBLの3ウェイシステムについてすこしふれられている。
ウーファーとドライバーのクロスオーバー周波数は700Hz、ドライバーとトゥイーターのあいだは8kHzである。