4343とB310(その16)
瀬川先生の4ウェイ構想を整理しておくと、
ウーファーはスペースのゆるすかぎり大口径のものを、ということで、38cm口径を選択。
ウーファーの重い振動板に、音楽のメロディの音域を受け持たせたくないのと、
小〜中口径のフルレンジの得意とする帯域を活かすために、
ウーファーとミッドバス(フルレンジ)のクロスオーバー周波数は100Hzから300Hzの範囲に。
フルレンジは口径によって1kHzから2kHzまで受けもたせ、
ミッドハイにはJBLの175DLHもしくは同等のホーン型を、そして8kHz以上はスーパートゥイーターに。
ネットワークの使用はミッドハイとスーパートゥイーターのところだけ。
こう書いていくと、JBLの4343に近い構成だということがわかる。
High Technic シリーズVol. 1にも書かれているように、
JBLの4ウェイのスタジオモニター・シリーズが発表されたとき、
「あれ俺のアイデアが応用されたのかな? と錯覚した」とある。
4343よりも、その前身の4341にはバイアンプドライブ専用モデルの4340があった。
ウーファーとミッドバス間のLCネットワークがないこの4340は、4343(4341)より、
瀬川先生の4ウェイ構想に近いスピーカーシステムである。
にもかかわらず4340ではなく、ネットワーク仕様の4341を選ばれたのは、
自宅でアンプの試聴もしなくてはならないため、である。
それにして4340、4343にしても、瀬川先生の4ウェイ構想に近い。
ウーファーは、当時のJBLのウーファーのなかでは、もっともf0の低い2231A。ミッドバスは25cm口径の2121。
ミッドハイは2420に音響レンズつきのホーンの組合せ。形状は大きくちがうが、175DLHも音響レンズつき。
スーパートゥイーターは2405。
4341(4343)がもし登場してなかったら、JBLのユニット群からほぼ同じユニットを選択され、
自作の4ウェイを実現されていたかもしれない。
そして、ウーファーだけでなくミッドバスまではマルチアンプドライブされていたと思う。