4343とB310(その15)
この4ウェイ構想にいまも惹かれるのは、
フルレンジからスタートでき、すこしずつ段階を踏んでシステムを構築できるところがあるからだ。
オーディオのキャリアのながいひとで、腕にも自信があり、最初から予算にも余裕がある人なら、
いきなり4ウェイのシステムに取りくむのもいいけれど、
すこしでも不安を感じる人は、フルレンジからはじめたほうがいい。
スピーカーシステムの調整において、フルレンジスピーカーを鳴らした経験があるかないかは、
あとになってあらわれてくる。勘どころのつかみかた、とでもいおうか、
そういうところに違いがあらわれてくるように感じている。
だから、もしいま瀬川先生のこの構想に取り組もうという人がいたら、
予算が最初から十分にあっても、まずはフルレンジからはじめたほうがいい、とすすめる。
フルレンジ一発からはじめ、その次にトゥイーターを加える。
ここでは良質のLCネットワークとアッテネーターを使う。
フルレンジユニットにトゥイーターを加え、高音の領域を拡大するということは、
ほぼ、楽器の倍音の領域を補強すること、といいかえていいだろう。
これは重要な経験となる。
クロスオーバー周波数は、選んだトゥイーターの種類によって大きく違ってくるが、
2kHzから8kHzの範囲になる。
つぎの段階でウーファーを追加して、ここでマルチアンプドライブへと発展していく。
クロスオーバー周波数はさきにも書いたように100Hzから300Hzの範囲にする。
ここでカットオフ周波数をあれこれ試してみてほしい。
同じ周波数にしたり離してみたり、オーバーラップさせてみたり、
エレクトロニッククロスオーバーネットワークを使うことのメリットを最大限に利用する。
誰かが見ているわけでも聴いているわけでもないから、大胆に思いつくかぎりの設定を試したい。
最後にミッドハイを加える。
クロスオーバー周波数は1kHz付近と8kHz付近。
とうぜんだが、ここでスーパートゥイーター用のネットワークはつくりかえることなる。