Archive for category KEF

Date: 2月 12th, 2015
Cate: KEF

KEF Model 109 “The Maidstone”(その4)

1999年、36歳だった私も、今年は52歳。
それだけ歳をとれば同じモノをみても捉え方に変化を生じもする。
誰もそうであるように、変ったところもあれば、変らないところもある。

ワディアのPower DACについて書くためにステレオサウンド 133号をひっぱり出したついでに、
特集のComponents of the year賞のページを読みなおした。
“The Maidstone”は賞に選ばれている。

井上先生と菅野先生が次のように語られている。
     *
井上 オーディオ心をくすぐる快感があります。ナチュラルとはいわないけど。
菅野 そう。だけどとても印象に残る音なんだよ。肉付きもいいし。
井上 オープンな鳴り方でスケールが大きい。ここはかつてのKEFとはまったく違うところですね。それから、マルチウェイなのに、まとまりがいいですね。同軸一本が鳴っているような感じすらある。
     *
改めて読むと、”The Maidstone”を無性を聴きたくなった。
Model 105では、こういう音はしなかった。
どんなにアンプの選択を注意深くやろうとも、
オープンな鳴り方で肉付きのいい音は、Model 105からは出せなかった、と思う。

133号を読んで、こういうKEFもいいじゃないか。
こういう音はModel 105のようなエンクロージュア形態からは出しにくいのでは、とも思った。
幅広のバッフルがミッドバスと同軸型ユニットのところにあるからこその、”The Maidstone”の音だと思えば、
これはこれでいいな、と思えるようになっている。

もしレイモンド・クックが長生きして”The Maidstone”の開発に携わっていたら、
同じになっていたかもしれない、とも思うようになっている。

Date: 2月 12th, 2015
Cate: KEF

KEF Model 109 “The Maidstone”(その3)

レイモンド・クックも老いたな、と思えたのが気にくわなかった。
昔のクックなら、同じユニット構成でも、違うエンクロージュア構成としたはず、という確信があった。
そして、もしかして……、と思った。

調べたらレイモンド・クックは1995年に亡くなっている。
“The Maidstone”の形に納得できた。
クックが携わっていたのではなかった。

これで”The Maidstone”への興味はしぼんでいった。
聴きたい、という気持もなくなっていた。
あれば、どこかへ出掛けてでも聴いていた。

“The Maidstone”が気にくわなかったのには、もうひとつ理由がある。
なんとなくJBLの4343を模倣したようなところが感じられるからである。

4343を、JBLのスタッフがS9500のスタイルでつくりなおしたとしたら、
“The Maidstone”のような形になるのではないか。
そんなふうにも捉えていた。

4343も”The Maidstone”も、ウーファーは15インチ、ミッドバスは10インチ。
4343も”The Maidstone”も基本的にはインライン配置。
バスレフポートの位置と数も4343と”The Maidstone”は同じである。

4343はウーファーとミッドバスのあいだにスリットがある。
このスリットは4343のデザインになくてはならないものである。

“The Maidstone”もエンクロージュアが独立構造としたため、自然とスリットが生じる。
外形寸法も4343の横幅は63.5cm、”The Maidstone”は60cmと近い。

1999年の私は、レイモンド・クックが携わっていなかったというだけで、
“The Maidstone”から積極的に良さを見つけようとはしなかった。

Date: 2月 11th, 2015
Cate: KEF

KEF Model 109 “The Maidstone”(その2)

“The Maidstone”はエンクロージュアが独立している。
15インチ口径のウーファーをおさめたエンクロージュアの上に、10インチ口径のミッドバスのエンクロージュア、
さらにその上に6.5インチ口径と1インチ口径のドーム型の同軸型ユニットのエンクロージュアが乗っている。
親亀、子亀、孫亀といったところで、孫亀の上にはスーパートゥイーターがちょこんと乗っている。

Uni-Qを搭載したModel 105とでもいおうか。
ただModel 105はスコーカー、トゥイーターをおさめているエンクロージュアは横幅を狭めていた。
だから階段状になっていた。

“The Maidstone”でも同じことはできたにもかかわらず、
それぞれのエンクロージュアの横幅は同じである。
だから堂々とした体躯のスピーカーに仕上っている。
Model 105とは、ここが違う。

けれどModel 105には思い出がある。
熊本のオーディオ店に瀬川先生が来られた時に(それまでの定期的に来られていたのはまた違う企画だった)、
このModel 105を聴いた。
この時瀬川先生が、ちょっと待ってて、行って席をたち、
Model 105の調整をされた。おもにスピーカーの振りの調整だった。
女性ヴォーカルのレコードをかけて、スピーカーの向きをまずあわせ、
それからスコーカー・トゥイーターの振りと仰角の調整。
手際よくやらていた。
時間にすれば10分くらいだった。

そしてここに坐ってごらん、といい、その席を譲ってくれた。
ここまで見事に音像は定位するものだ、と体験できた。

このことがあるからことさらModel 105への思い入れは強い。
だから、なぜ”The Maidstone”は、ミッドバス、同軸型のエンクロージュアの横幅を狭めなかったのか。
それが気になっていた。そして気にくわなかった。

Date: 2月 11th, 2015
Cate: KEF

KEF Model 109 “The Maidstone”(その1)

別項でワディアのPower DACについて書いていたので、ステレオサウンド 133号をすぐに近くに置いている。
表紙はKEFの”The Maidstone”である。

私にとってKEFはずっと気になっていたスピーカーメーカーだった。
瀬川先生が最後まで所有されていたBBCモニターのLS5/1A、
このLS5/1Aをベースにマルチアンプ化したModel 5/1AC、
パッシヴラジエーターをもつmodel 104、
鉄板製のフロントバッフルのModel 103、
階段状の形状をもちリニアフェイズをめざしたModel 105、
樹脂製エンクロージュアを採用し、ローコストをはかりながらも魅力的な存在だったModel 303、
これらはそれぞれに思い入れがいまもある。

KEFといえば、創設者のレイモンド・クックのイメージがつねに重なってくる。
実際の人柄はどうだったのかは知らないが、写真で見るクックは、堅物そうな印象があった。

そのKEFから1980年代のおわりにUni-Qという同軸型ユニットが登場した。
いまさら同軸型ユニットと思われるそうな時代に、あえて同軸型ユニットを開発する。
しかも、タンノイ、アルテックの同軸型とは異る構造をもつ。
KEFらしい(クックらしい)同軸型ユニットだと、当時は思った。

でも、その後製品として登場したUni-Q搭載のKEFのスピーカーシステムの音には惹かれなかった。
1990年代を締括るかのように、つまりUni-Q登場10年を締括るかのように、
1999年に”The Maidstone”が登場した。

第一印象はあまりよくなかった。
KEFへの興味も薄れていたところに、なんだかずんぐりした感じのスピーカーシステムが出て来た、
これが正直な感想だった。

Date: 10月 1st, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その28)

LE175DLHの原型とはいえない面ももつけれど、
型番の上からは原型ともいえるD175H1000は、1947年に登場している。
H1000は8セルのマルチセルラホーン。

これが1950年にD175Hとなって、さらに175Hに変更されている。
この名称の変更は、ドライバーのD175が175になったためである。
そして1952年、175DLHが登場する。

175DLHは、175ドライバーと1217-1200(Horn/Koustical Lens)の組合せであり、
この蜂の巣状の音響拡散レンズの原型は、
1949年(ランシングが亡くなった年)にベル研究所のウインストン・コックと
F. K. ハーヴェイによって開発されたもの、とのこと。
この原型を、ウェストレックスのジョン・フレインが引き継ぎ,
バート・ロカンシーとともに完成させている。
それが1217-1200で、これがロカンシーのJBLでの最初の仕事のようである。

175DLHをランシングは、見ていない。
これをもし見ていたら……、と思ってしまう。
もしかしたら、175DLHを搭載した同軸型ユニットを開発していたかもしれない、と。

アルテックの604のマルチセルラホーンのかわりに、1217-1200がついている。
その姿を、妄想してしまうときがある。

Date: 9月 28th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その27)

LE175DLHの型番末尾のDLHは、Driver, Lens, Horn の頭文字をとったもの。
このスピーカーユニットは何度か変更が加えられている。

外観ですぐ分かるのはホーンの長さが初期のモノは長く、途中から短くなっている。
それにごく初期のモノはホーンが金属の削り出し、ということだ。

だからLE175DLHを使う、といってもどの時代のモノを使うのか、という点が問題にならないわけでもない。
程度が優れたモノが入手できるのであれば、そのごく初期の削り出しホーンの175DLHを手にしてみたい、
そういう気持は、オーディオマニアだから否定しようとは思わない。
でもここではそれが2組(4本)必要である。

LS5/1と同じ使い方をするから、下側の配置する175DLHと上側に配置する175DLHが同じ時期、
シリアルナンバーの近くなければ、ということはあまり気にしなくてもいいのかもしれない。

だから初期の175DLHと後期の175DLHがそれぞれ1ペアずつ揃えばいい、という考え方ができるし、
どちらを上側、下側に配置するかは実際に音を聴きながら決めることでもある。

でもそういう気持の一方で、やはり同時期の175DLHで揃えたい、という気持もある。
実際は、こちらの気持などは関係なく、そのとき出合える175DLHによって決ってくる。

こんなふうにあれこれ書いているけれど、この案を実行できる日が来るのかも、書いている本人にもわからない。
でも、LE175DLHが上下に2発配置されていて、その下にヴァイタヴォックスのウーファーがある姿は、
想像していると、けっこう様になっている、意外に堂々とした風貌のスピーカーシステムに仕上がりそうだ。
少なくとも、私の頭のなかでは、いい感じに仕上がっている。

程度のいいモノが入手できて組み上げたからといって、すんなりうまくいく部分もあれば、そうでない部分もある。
少なからぬ時間がとられるとしても、このスピーカーの音は、つくり出したい。

Date: 7月 12th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その26)

低域はヴァイタヴォックスで、中高域はJBL、
つまり低域はイギリスで中高域はアメリカ、ということでもある。
いくらなんでも、そういう組合せでうまくいくわけがないだろう、と思われても仕方ない面がある。

でもヴァイタヴォックスは、ロンドン・ウェストレックスのスピーカーユニットの製造を請け負っていた会社だ。
そういうこともあり、イギリスのアルテック的な捉え方もされている。
となると、ヴァイタヴォックスも、JBLもアルテックも元をたどれば同じところに行きつく。
まったく異質なモノを組み合わせようとしているわけではない、というすこし強引な言い訳はできる。

BBCモニターは、LS5/1のときからウーファーとトゥイーターの製造メーカーは違っていた。
LS5/1ではウーファーはグッドマン製、トゥイーターはセレッション製だった。
LS3/5Aはウーファー、トゥイーターともKEF製だったが、むしろメーカーが揃っていることが珍しい。

BBCの流れを汲むスペンドール、ハーベスなどもウーファーは自社製でも、トゥイーターは他社製だ。
LS5/8ではトゥイーターはフランスのオーダックス製と、国とメーカーも異る仕様になっている。

そんなことも併せて考えると、ウーファーがヴァイタヴォックス製で、トゥイーターがJBLというのは、
なにかうまくいきそうな感じがしないが、
音楽のメロディ帯域の受持つウーファーがヴァイタヴォックス(イギリス製)であれば、
多少苦労してでも、うまく音をまとめあげれば、決して異端のスピーカーシステムというよりも、
わりと真当なスピーカーシステムと仕上がるはずだ。

そんな確信に近いものをもてるのは、
LE175DLHは、瀬川先生が惚れ込まれたユニットのひとつだから、である。

Date: 7月 10th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その19の補足)

ストロットを採用したスピーカーシステムはBBCモニター以外にも、
この項で取り上げたAmazonのA.M.T.One以外にも、日本のスピーカーシステムの中にも過去に製品化されている。

1970年代半ばにオンキョーから出たE212AとE213Aが、そうだ。
BBCモニターと、これら2機種のスピーカーシステムの差違はウーファーの取りつけ方と、
それにともなうストロットの設け方である。

BBCモニターではフロントバッフルの開口部を矩形として、バッフルの裏側からウーファーを取りつける。
オンキョーのスピーカーシステムでは、フロントバッフルの表からとりつけて、
ウーファーの前面に矩形開口部のサブバッフルを取りつけている。

オンキョーでも、矩形開口とすることで、ウーファーの中域までの指向特性を改善できる、としている。
オンキョーの2機種で注目したいのは、ストロットの形状に違いがあること。
E213Aで一般的なストロットだが、E212Aでは矩形開口部の両脇にスリットがある。
つまり細長い板2枚をウーファーの左右両端に配して中央に大きめの矩形開口部をつくり、
ストロットを作っている板の外側にスリットができている。

ただこのスリットから見えるのはウーファーのフレームであり、振動板はかくれている。
ということはこの両脇のスリットからは何の効果もないのか……となりそうだが、
どうもそうは思えない。
それにE212Aのストロットの在り方をみていると、二重スリット実験を連想する。

ストロットの基本はBBCモニター的手法となるけれど、もう少し発展させたストロットがありそうな予感を、
E212Aは与えてくれた、といってもいい。

Date: 6月 25th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その25)

LE175DLHをトゥイーターに使うとしたら、ウーファーはやはり同じJBLのD130もしくは130Aというのが、
順当な選択ということになるが、
元のモデルとなったLS5/1Aがイギリス製の、BBCモニターであるからして、ウーファーはイギリス製にしたい。

中高域にJBLのユニットをもってきている時点で、そんなことをいうのはおかしいだろう、という声もあるだろうが、
私の中でのLE175DLHの位置付けは、他の.JBLのコンプレッションドライバーとはすこし違う。
それからジャズをメインとして聴いているのであれば、JBLのウーファーを迷わず選択するが、
私が聴くのはクラシックが圧倒的に多い。

ウーファーの口径は15インチ(適当なものがなければ12インチ)で、
LS5/1A同様、1.75kHzあたりまで使うこと、それに中古であっても入手がそれほど困難でないもの、となると、
思い浮ぶウーファーはひとつしかない。
ヴァイタヴォックスのAK157だ。この古典的なウーファーは、カタログ上の周波数特性は5kHzまで、となっている。
1.75kHzあたりのクロスオーバー周波数を考えているから、AK157はこの点でもぴったりだ。

カタログには出力音圧レベルの記載はないけれど、能率は高いもののはずだ。
同社のシステムCN191、BassBin、Bitone Majorではコンプレッションドライバーとの組合せで使われている。
このことからして低能率のウーファーではないはずだ。

ウーファーが低能率でも、
中高域のコンプレッションドライバーのレベルをアッテネーターで減衰させればすむこと、
それほどウーファーの能率の高さは考慮しなくてもいい、とは私は思っていない。
できることならアッテネーターはなし、ですませたい。
無理なことが多いから仕方なくアッテネーターを挿入するわけだが、
それでも減衰量はできるだけ抑えたい、と思っているからだ。

Date: 6月 18th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・075について)

075の、誰も思いつかないような使い方を、井上先生が「HIGH-TECHNIC SERIES 1」に書かれている。

JBLのスピーカーユニットを使った3ウェイ構成で、
ウーファーに136A、スコーカーに375にHL88(537-500)、トゥイーターが075という組合せである。
ここで、「高域は文句なしに075だ」とされているが、こうもつけ加えられている。
     *
もしも、075がストレートに過ぎるなら、価格的に少し高いがHL91のスラントタイプ音響レンズだけを組み合わせよう。この場合の075の音は一変し、高音が一段と伸びた大変にスムーズな音がねらえる。
     *
いまの認識では音響レンズは音は悪くするもの。
ホーンの開口部のところには何も置くべきではない、という考えが主流のようで、
JBLから音響レンズ付のものはなくなっている。

そのとおりだとは思う。
けれど、とも思う。
日本のように、比較的近距離で聴く場合には、音響レンズは入念に設計しつくれば、
デメリットはあるもののメリットも、まだある、と考える。

Date: 6月 18th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その24)

JBLには075というトゥイーターがある。
カタログ上のスペックでは、2.5kHz以上で使える、となっている。

ステレオサウンド別冊「HIGH-TECNIC SERIES 3」での
JBLのLE8Tをベースにしたトゥイーター55機種の試聴テストに、075が登場している。

そこで瀬川先生は、クロスオーバー周波数を試しに1.6kHzまで下げても音がへたることなく、
エネルギーとしてきちんと出ている、と話されている。
だからといって1.6kHzから使えるわけではないのだが、
この試聴ではトゥイーターはバッフルに取り付けられることなく行なわれている。

バッフル板があれば、周波数特性は変化する。
それも高い周波数よりも低い周波数において、その差ははっきりと出る。

それに試聴ではスロープ特性は12dB/oct.となっている。
これが18dB、さらに24dBという高次のカーヴで遮断したらどうなるか。

075を2発バッフルに取り付けたとしたら、そして3kHz以上で上側の075をロールオフする。
つまり3kHz以下の周波数においては075は2発鳴っているわけで、
エネルギーレスポンス的に下りがちのこの帯域を補えることになる。バッフル効果にそれに加わる。

最大音圧レベルをそれほど要求しなければ、075でもいける可能性があるかもしれない。
仮にうまくいくという保証があったら、LE175DLHではなく075を使うか、というと、やはりLE175DLHをとる。

これはLE175DLHを選んだ理由でもあるが、放射パターンによって、である。
075のホーンの形状、それから指向特性を実際に見てもビーム状であることが読み取れる。
できるだけ拡散して、それも受持ち帯域内では周波数によって指向特性ができるだけ変化しない、
でということを求めているからだ。

Date: 6月 17th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その23)

瀬川先生の4ウェイ構想のミッドハイが受け持つ帯域は、下は1〜2kHzから上は8〜10kHzあたりの範囲である。

JBLのLE175DLHのことを、特に書かれていない。
国産にはこういう目的に合うものがなかった、とは書かれているが、
JBLではなくともアルテックには802-8Dはあった。
それにJBLだけにしぼったにしても、ホーンはいくつもある。
JBLのスタジオモニターの4300シリーズと同じスラントプレートの音響レンズつきのホーンHL91、
そのプロ用の2391(2307+2308)だってある。
ディフラクションホーンの2397もあったにもかかわらず、LE175DLHの型番しか登場してこないのは、
これは瀬川先生のお気に入りのスピーカーユニットだから、ということになる。
少なくとも私のなかでは、そういう結論である。

瀬川先生が宝物のように大事にしてこられたLS5/1Aを、
他のスピーカーユニットで現代に再現してみよう、というのだから、
瀬川先生がそれだけ気に入っておられたLE175DLHを使いたい。

理由はそれだけではない。
他のホーン、たとえば2397とか、ラジアルホーン、マルチセルラホーンを上下2段に重ねようとは思わない。
LS5/1と同じように、上側のユニットを3kHzから上をロールオフさせる使い方だとしても、である。

けれど蜂の巣状の音響レンズのLE175DLHだったら、うまくいきそうな予感がある。
同じ音響レンズでも、スラントプレート型の2段重ねは見た目の問題から、やる気はない。
375+537-500でもだめである。
高域が伸びていないからだけでなく、あの大きな開口部(直径34.3cm)が上下に2つある姿は美しくないし、
いい音がするとは思えない。
LS5/1がHF1300のフランジを外して、2つのHF1300をできるだけ接近させていることにも反することになる。
これはLE175DLHだから、試してみたい気にさせてくれる。

Date: 6月 16th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その22)

LS5/1というイギリスのモニタースピーカーを、現代につくる、というに、
アメリカの、それもJBLの、さらにはホーン型ユニットを中高域に使うなんて!、と思う人はいるだろう。

でも感覚的に私の中では、AMT型トゥイーターによるLS5/1型スピーカーシステムよりも、
JBLのLE175DLHを使うほうを実行に移したい、という気持はずっと強い。

LE175DLHは、JBLの数々のスピーカーユニットの中で、見ただけで欲しくなってしまったモノである。
LE175DLHよりも、375に537-500を組み合わせたほうが、もっと堂々として存在感がある。
本格的にJBLのユニットでシステムを構築するのであれば、LE175DLHよりも375+537-500の方が可能性は大きい。

だがLS5/1型スピーカーに使うには大きすぎるし、高域の伸びの不足もある。
それにLE175DLHのほうが、美しい。
それは、途中からホーンが短くなり全体にズングリした印象になる以前の、
スマートだったころのLE175DLHは、スピーカーユニットとしてのデザインの完成度は高いと感じている。

瀬川先生がJBLの3ウェイの自作スピーカーで聴かれているころのリスニングルームの写真に、
ウーファー用のエンクロージュアの上に、LE175DLHが置かれている。
鳴っているのは375+537-500である。

375+537-500を使いながらも、音を聴くときに必ず目にはいってくるところに、
それまで使われていたLE175DLHを置かれていること、
そしてステレオサウンド別冊「HIGH-TECHIC SERIES-1」に載っていた瀬川先生の4ウェイの構想。

フルレンジを使うミッドバス、トゥイーターには、それぞれ14機種、推奨ユニットをあげられている。
にもかかわらず、ミッドハイは最初からLE175DLHのご指名である。

Date: 6月 13th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その21)

いま入手可能なスピーカーユニットでつくる、ということで書き始めたのが、この項だが、
この「入手可能」は現行製品に限ると言う意味での「入手可能」ではない。

中古であっても市場に流通していていた数が多いものであれば、比較的状態のいいものがあせらなければ入手できる。
そうやって入手できるスピーカーユニットと現行製品のスピーカーユニットをあわせて、2つの案を考えている。

ひとつはAmazonのA.M.T. Oneと似た構成になるが、トゥイーターにAMT型を採用したもの。
もうひとつはトゥイーターに、JBLのLE175DLHを使ってみたい、と考えている。
もちろんどちらの案でもトゥイーターは片チャンネルあたり2発使う。
その使い方もLS5/1に準じる。

AMT型トゥイーターを使う案では、2ウェイでもできるかぎりワイドレンジにしたい、
LE175DLHでの2ウェイではそうはいかないし、オリジナルのLS5/1よりも高域の伸びは劣ることになる。
それでもLE175DLHでやってみたい、という気持は強い。

Date: 6月 12th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その20)

数年前、ステレオサウンドの連載記事で、「名作4343を現代に甦らせる」というのがあった。

それはアマチュアの自作スピーカーの記事ではなく、
ダイヤトーンでスピーカーの設計に長年携わってこられた佐伯多門氏によるもだった。
佐伯氏がいたころ、ダイヤトーンは4343と同寸法の4ウェイのスピーカーシステムDS5000を出している。

私の勝手な憶測だが、あえてDS5000を4343と同寸法で出してきたということは、
4343を研究し尽くして、のことだと思う。
それにステレオサウンド 47号に掲載されている4343の測定は、ダイヤトーンによって行なわれている。

だから記事の1回目を読んだときは、期待もあった。
けれど残念なことに、回が進むごとに、おかしな方向に進んでいった。

おかしな方向、と書いてしまったが、技術的におかしな方向という意味ではなく、
「名作4343を現代に甦らせる」というタイトルからそれてしまった、という意味でのおかしな方向である。

結局「名作4343を現代に甦らせる」は、
「名作4343の使用ユニットを現代に甦らせる」とタイトルを変えるべき内容であり、
4343という1970年代のスピーカーシステムを、
21世紀のスピーカーシステムとしてリファインする内容ではなかった。

この「名作4343を現代に甦らせる」に欠けていた、
しかし最も大事にしなければならなかったことは、
4343というスピーカーシステムを4343と存在させ、認識させている要素・要因はなんなのかを、
しっかりと見極めたうえで、
変えてもいい箇所、絶対に変えてはいけない箇所をはっきりとさせたものでなくてはならないはずだ。

なのに変えてはいけないところまで無残にも変えてしまった。
だからこの記事は「名作4343の使用ユニットを現代に甦らせる」とすべき内容である。
このタイトルでだったら、こんなことを書かなくてもすむ。

ここの項のタイトルには「妄想組合せ」とはつけてはいても、こんな過ちは犯したくない。