妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その19の補足)
ストロットを採用したスピーカーシステムはBBCモニター以外にも、
この項で取り上げたAmazonのA.M.T.One以外にも、日本のスピーカーシステムの中にも過去に製品化されている。
1970年代半ばにオンキョーから出たE212AとE213Aが、そうだ。
BBCモニターと、これら2機種のスピーカーシステムの差違はウーファーの取りつけ方と、
それにともなうストロットの設け方である。
BBCモニターではフロントバッフルの開口部を矩形として、バッフルの裏側からウーファーを取りつける。
オンキョーのスピーカーシステムでは、フロントバッフルの表からとりつけて、
ウーファーの前面に矩形開口部のサブバッフルを取りつけている。
オンキョーでも、矩形開口とすることで、ウーファーの中域までの指向特性を改善できる、としている。
オンキョーの2機種で注目したいのは、ストロットの形状に違いがあること。
E213Aで一般的なストロットだが、E212Aでは矩形開口部の両脇にスリットがある。
つまり細長い板2枚をウーファーの左右両端に配して中央に大きめの矩形開口部をつくり、
ストロットを作っている板の外側にスリットができている。
ただこのスリットから見えるのはウーファーのフレームであり、振動板はかくれている。
ということはこの両脇のスリットからは何の効果もないのか……となりそうだが、
どうもそうは思えない。
それにE212Aのストロットの在り方をみていると、二重スリット実験を連想する。
ストロットの基本はBBCモニター的手法となるけれど、もう少し発展させたストロットがありそうな予感を、
E212Aは与えてくれた、といってもいい。