Archive for 9月, 2026

Date: 9月 30th, 2026
Cate: ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その37)

私のところにあるアルテックの604-8Gは、早瀬文雄(舘
一男)さんが京都にいたころに手に入れられたモノ。
別項で書いているように、トゥイーターのダイアフラムが両チャンネルとも断然している。

舘さんは、完動品ということで、知人から購入したのに、結果はそうではなかった。舘さんは知人に裏切られたと感じたのか、その604-8Gへの関心が一気になくなってしまったようで、後日、「使いませんか」と連絡があり、私のところにやって来た。

604-8Gが届いて、エンクロージュアをどうしようかとあれこれ考えては迷っていたころ、住んでいたところの大家さんが亡くなり、建物が壊されることになり引越し。

引っ越してからまもなく、この部屋にはJBLのハークネスがやって来た。岩崎先生が鳴らされていたハークネスである。

部屋は少し狭くなっていた。そこにはハークネスが来たので、604-8Gのエンクロージュアの件は、しばらく、お休み。

しかも、この部屋には数年後、タンノイのコーネッタがやって来たから、604-8Gの出番はなかった。
604-8Gはそのまま元箱に入ったまま、2024年にまた引越し。

部屋は少し広くなった。置けないこともない。なので、そろそろ本気で604-8Gに取り組もうと思いつつも、
エンクロージュアに関しては、予算があれば、こうしたいという案があるけれど、満足のいくモノにしようとすると、けっこうかかる。

となるとなんらかのエンクロージュアを手に入れて、手を加えていくのが、現実的である。

夏ごろから、ヤフオク!で使えそうなエンクロージュアが出品されていないか、割とマメにチェックしていた。

別項で、この604-8Gと舘さんのことを書いているのも、私自身にハッパをかけるためでもある。

ヤフオク!でチェックしていると、あれこれ気づくことがある。直接604-8とは関係のないことであっても、同じ型番のエンクロージュアであっても、とあるメーカーのモノは、製造時期によって造りに違いがある。

これはそういうことか、と一人納得しながら、いい感じのエンクロージュアが出ないかと待ち続けていた。

そして、先ほどようやく落札した。

Date: 9月 29th, 2026
Cate: 名器

名器、その解釈(JBL 4343の場合・その2)

(その1)で、JBL 4343は名器かと問われると、少し違うと書いた。

JBLの、例えばハーツフィールドやパラゴンは、私だって名器だと思う。パラゴンは現行製品であったころから、名器として認められていた。

4343を名器と呼ぶ人はいるだろう。
私も名器と呼びたい気持を持っていないわけではないが、考えれば考えるほど、はたして4343は名器なのか、と自問してしまう。

世間一般の評価は、ここではあまり関係ない。あくまでも私個人が、4343を名器と感じるかどうかだ。

4343の前身である4341はどうか。4343の上のモデルの4350はどうか。
4343の後継機としての4344は、どうか。それから18インチ口径ウーファーを搭載した4345は、名器なのか。

4350は凄みを感じさせるスピーカーシステムなのだが、ここでも4350は名器とは、少し違うと思ってしまう。

4350の後継機の4355よりも4350の方が、私の中では名器に近いポジションにいるけれど、そして4344と4343に関しても同じことがいえるけれど、
それでも少し違うの、「少し」とは、いったい何なのか。そのことをあれこれ考える。

Date: 9月 28th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その18)

ナグラ初の据置型オープンリールデッキのT-Audioは、ナグラ唯一の据置型モデルでもある。

T-Audioの登場にワクワクしたかというと、それほどでもなかった。ポータブル型であれだけのモノをつくれるナグラだから、据置型をつくったら──、という期待は持っていた。

T-Audioは、ナグラらしい据置型といえる。だから素晴らしいと高く評価する人もいるし、私のようにプロ用機器としての据置型オープンリールデッキに、凄みを感じとりたい者には、スマートすぎると感じる。

T-Audioの音も、そういう印象を先に持ったためか、スマートと感じられる。それが悪いというわけではなくて、私がただ単にオープンリールの2トラ38の音に、勝手に期待している世界とは、かなり違っているという、それだけのことだ。

ならばナグラとともにポータブル型で双璧といわれるステラヴォックスは、どうかというと、1987年ごろにTD9を出してきた。

TD9は、日本に入ってきたのかどうかも知らない。存在を知っているだけで、インターネットで得られる以上のことは知らない。

それでもT-AudioとTD9、一度は比較試聴してみたい。

実際のところ、ナグラとステラヴォックスは、どう違うのか。音も、じっくりと聴いているわけではないし、自分で使ってみたことがあるわけでもない。

井上先生が、ステレオサウンド 49号に書かれている。
     *
 業務用途に使用されるオープンリールのポータブル型レコーダーでは、ともにスイスでつくられるナグラとステラボックスが双璧といわれ、つねにこの2社の製品が対比されて語られている。簡単に考えれば、ともに映画用の映像と音声を同期させる録音・再生を目的として使われているが、ナグラが、ポータブルというよりは、可搬型と呼んだ方がふさわしい現場まで運んで行って置いて使うためのレコーダーとすれば、ステラボックスは肩にかけたまま軽量のメリットを活かしたルポ的使用をするタイプであることが、根本的な両者の違いである。
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T-Audioは、そういう意味でナグラらしい可搬型と感じるし、TD9は写真やインターネットでの情報からは、据置型と感じる。

Date: 9月 27th, 2026
Cate: ヘッドフォン

AKG K1000がやって来た(その2)

AKG K1000は、一万数千台製造されたらしい。私のところにやって来たK1000のシリアルナンバーは、10000番台。

K1000の登場は1989年だったはずだから、初期のモデルは三十年以上となる。完動品といえる状態のK1000は、いったい何台くらいなのだろうか。

五割残っているのは思えない。もっと少ないように勝手に思っている。三割程度だとしたら、現在も音を奏でているK1000は、三千台から四千台くらいなのか。

もっと少ないのかもしれないし、かなり多いのかもしれないが、一万数千台のほとんどが完動品として存在していることはない。

世界に、おそらく数千人しかいないK1000の聴き手で、MQAで聴いている人は、どのくらいだろうか。かなり少ないように思われる。

だからこそ、一人でも多くの人にK1000とMQAの組合せの音を聴いてほしい、と思う。

Date: 9月 26th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

戻っていく感覚(「風見鶏の示す道を」その21)

1976年12月に、黒田先生の「風見鶏の示す道を」を読んだ。ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ‘77」の巻頭に載っている。

当時、中学二年だった私にとって「風見鶏の示す道を」は、「五味オーディオ教室」に次ぐものとなった。
黒田先生が「風見鶏の示す道を」で言わんとされること全てを、読んですぐに理解できたわけでもなかったが、
これから先、ずっとオーディオでレコード音楽(録音再生される音楽)を聴いていくということは、こういうことでもあるのか、と静かな衝撃でもあった。

「コンポーネントステレオの世界 ‘77」を買った時、すでに冬休みだった。その間、何度も読み返していた。

「風見鶏の示す道を」に登場する乗客は、レコードを携えていた。そして目的地を、駅員に訊ねる。

「風見鶏の示す道を」から、もう少しでまる五十年になる。そのタイミングで、AKG K1000がやって来たことをあわせて考えていた。
私は、K1000を携えて駅にいる。そのことを考えていた。

Date: 9月 25th, 2026
Cate: ヘッドフォン

AKG K1000がやって来る(その5)

別項でも書いているように、2019年のヘッドフォン祭でBrodmann Acousticsのヘッドフォンが目に留まった。AKG K1000的モデルだ、と見ただけで思った。

後日、やはりそうだったことを知るとともに、このモデルはLB-AcosticsのMysphere 3がベースになっていることも知った。

輸入元のブライトーンのウェブサイトでMysphere 3について確認すると、AKG K1000のコンセプト構築と開発を指揮したHelmut RybackとHeinz Rennerは、
彼らの貴重な経験を究極のヘッドフォンであるMysphere 3の開発に惜しみなく注ぎ込みました──、とあった。

K1000は製造中止になったけれど、正統な後継モデルが登場した。このことは、K1000が欲しくても買えなかった私にとって、嬉しい存在となった。

ただしMysphere 3は、なかなかに高価だった。
いつかはK1000と思いながらも、コンディションのいいK1000と出合えなかったら、Mysphere 3か──、そんなふうに考えていた。

今回、K1000を手に入れたから、そういえばMysphere 3は、いまいくらするのでろうか、と気になった。
オーディオ機器が値上がりしている。特に海外製品は、いろんなことが関係して、値上げ幅が大きい。

Mysphere 3も100万円ほどになったかもしれないと、ブライトーンのウェブサイトを見ると、取扱いブランドにLB-Acosticsがない。

えっ? と思い、LB-Acosticsのウェブサイトを見ると、Mysphere 3はどこにもない。私が知らないうちに製造中止になったようだ。

今回、K1000を落札できて、ほんとうによかった、とだから思っている。

Date: 9月 24th, 2026
Cate: サイズ

テクニクス SL01のサイズ

七年前にヤフオク!で、テクニクスのアナログプレーヤー、SL01を落札したことは、別項で触れている。

キャビネットの右サイドの塗装の剥げがあったためか、かなり安価で落札したモノ。別項でも書いているが、瀬川先生がステレオサウンド 56号で書かれている組合せを聴いてみたくても落札だった。

最初はパイオニアのPL50IIを考えていたが、アンプのサンスイ AU-D607のサイズと色とのマッチングを優先して、SL01にした。

AKG K1000を落札した翌日に、トーレンスのTD124のキャビネットも落札していた。自分で使うためではなく、後日、あるところに持ち込むためなのだが、こちらは翌々日には届いた。

手に取ってみて、ふとSL01と大きさを比較してみた。同じくらいの大きさで、もしかしてSL01の設計者は、TD124と同じ大きさのプレーヤーを作りたかったのでは──、そんなふうに感じたからだ。

私が手に入れたキャビネットは、トーレンスのオリジナルではないが、サイズは近いモノ。
SL01と合わせてみると、ほぼ同じといっていい。

たまたまの一致なのかもしれないが、そんなふうに思いをめぐらせるのも、オーディオの楽しみのはずだ。

Date: 9月 24th, 2026
Cate: ヘッドフォン

AKG K1000がやって来た(その1)

落札したのが先週金曜日。翌日からのシルバーウィークのためか、発送連絡があったのが、昨日(9月23日)。
つい先ほどAKG K1000が、私のところにやって来た。

大きめのダンボール箱に入って届いた。緩衝材の中からK1000の元箱が見える。
この元箱、粘着テープで閉じられていたのではなく、ラップを十字に巻いてあった。一度開けられているとはいえ、それ以上、元箱の状態を悪くてしたくないというマニア心がわかっている出品者なのかもしれない。

それでもK1000を木箱から取り出すまでは、ヤフオク!にあったように、未使用に近いコンディションなのかは、わからない。

これまでヤフオク!で、いくつかのオーディオ機器を落札しているけど、ここまではドキドキしたのは初めて。
ヤフオク!での写真通りのK1000が出てきた。ほっとした。

今回、18万円を少し超えた金額での落札だった。落札したあと、この金額だったら、現行のヘッドフォンでもいいモノが購入できる。

ヘッドフォンもずいぶんと高くなっているから、20万円ほどでは最高級のモノには届かないが、それでもメーカーによっては、フラッグシップモデルも買える。

性能的には、現行製品だろう。そのことは頭ではわかっていても、どうしても手に入れたい、と思い続けてきたK1000とは、私の裡での重みが違う。

Date: 9月 23rd, 2026
Cate: 再生音, 情景

AKG K1000がやって来る(その4)

管球式OTLアンプにとって、スピーカーのインピーダンスは高い方が有利となる。

トランジスターアンプでは、スピーカーのインピーダンスが低くなれば出力は増す。理論では8Ωで100Wの出力ならば4Ωでは倍の200Wに、2Ωならばさらに倍の400Wとなる。

現実には、電源の容量や出力段の余裕などから、全てのパワーアンプが倍倍になっていくわけでないが、スピーカーのインピーダンスが低くなれば出力は増し、反対に16Ωでは半分の50W、32Ωでは25Wと小さくてなっていくが、管球式OTLアンプでは、たいていの機種で8Ωよりも16Ωの方が出力が増す。

管球式OTLアンプの自作熱が高かったです時代は、ボイスコイルを巻き直して、インピーダンスを高くする人といたと聞いているし、オーディオ雑誌の記事でも読んでいる。

管球式OTLアンプの負荷として、どのあたりが最適なのかは、アンプの設計、構成によっても違ってくるからはっきりした数字はいえないけれど、8Ωよりも16Ωが有利といえる。

ではAKG K1000の120Ωは、どうなのか。トランジスターアンプほど出力は低下しないと思っている。少なくともフッターマンのOTL2にとって、K1000は負荷としては軽くなることは確かだ。

ということは、私が感じていたOTL2の良さは、より活きてくるはずだ。
もっともヘッドフォンアンプとしては大きいし、発熱もかなりとなるけれど、K1000とOTL2の組合せの音は、当たり前すぎることだが、どちらも持っているからこそ聴ける。

私にとってだけの壺中の天地となってくれるのだろうか。

Date: 9月 22nd, 2026
Cate: 再生音, 情景

真珠の耳飾りの少女(その3)

フェルメール展の翌日(9月17日)は京都の東寺を訪ねていた。十九年前は入らなかった観智院にも行った。

恥ずかしながら、観智院に宮本武蔵の襖画があることを知らなかった。鷲の図と竹林の図がある。
宮本武蔵が22の時に描いた水墨画だから、1606年ごろなのか。

フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」は、1665年ごろといわれている。六十年違うとはいえ、どちらも17世紀の絵である。

鷲の図、竹林の図ともに剥落がある。鷲の図の方がひどい。
いろんな条件が違うのだから、そのことをあれこれいうつもりはないのだが、ここでも「鮮度」について考えさせられる。

Date: 9月 21st, 2026
Cate: 再生音, 情景

真珠の耳飾りの少女(その2)

その混雑ぶりがニュースにもなったフェルメール展だが、私が行った16日の18時30分の回は、それほどひどくはなかった。

一時間ほど前に中之島美術館に着くと、予約時間ごとに列に並ぶ。ここで、かなり待つのかと思っていたら、時間前から列が動き、五階の入り口に着いたのは18時15分くらいだった。

いくつかのブースになっていて、当然だけれども、「真珠の耳飾りの少女」は最後のところに飾ってある。そこには、「真珠の耳飾りの少女」だけがある。

ニュースでご覧になった方も多いだろうが、ここには長いスロープが設けられていて、徐々に、そこへと近づくようになっている。

最前列で正面から鑑賞できる時間は短いが、少しずつ近づいて観ているわけだから、そう短いわけでもない。

正面での「真珠の耳飾りの少女」の印象よりも、私には、その後の印象の方が強かった。

最前列まで行くと、「真珠の耳飾りの少女」に向かって右側から左側への出口へ向かう。出口へと数歩あるいてから、ふとふり返った。

「真珠の耳飾りの少女」は正面を向いているわけではなく、左斜めだから、ふり返った時に、目が合った、そう感じてしまった。どきっ、とする。

「真珠の耳飾りの少女」の目、唇、耳飾りが、正面で最前列での時よりも、色鮮やかに感じられた。

このことがあったから、よけいに「鮮度」を感じたともいえるのかもしれない。

Date: 9月 20th, 2026
Cate: ヘッドフォン

AKG K1000がやって来る(その3)

落札する前から、絶対に落札すると決めていたから、K1000が届いてからのことを、あれこれ考えていた。

別冊 暮しの設計 No.20「オーディオ〜ヴィジュアルへの誘い」に岡先生が書かれている。
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 それ以上に優れているのは音のよいことである。今まで音のよいヘッドフォンといえば、ソニーのMDR−R10が抜群であり、スタックスのΛ(ラムダ)Σ(シグマ)シリーズの上級機も定評があったが、K1000はダイナミック型のもつ力強さとコンデンサー型の繊細さや透明度を持ち、歪み感のすくないことでも注目されるものであった。本機はパワーアンプの出力をそのまま入力すればよいようになっている。インピーダンスが120オームなので、ふつうのスピーカーを聴くときに上げるアンプのヴォリュームの位置と大差はないところで、ほどよい音量が得られる。
 K1000が発表されたのは1990年だが、1991年にこのヘッドフォンのための専用アンプ(K1000アンプリファイアー)が発売された。純粋A級アンプで、ヘッドフォン専用アンプとして作られただけに、このアンプを通したときの音がもっともよい。
 入出力ともXLR(キャノン端子)コネクター用によっており、入力は3端子のバランス専用、出力はLR共用の4端子が1対装備されているので、K1000を2本つなぐことができる。
 このアンプが現われたので、バランス出力のあるCDプレイヤーやDATあるいはカセットデッキなどを直接モニターすることができる。音量調整も出力端子のすぐそばにヴォリュームがあるので、容易に好みのレベルに設定できる。
 K1000はたしかにヘッドフォンにちがいないが、聴感覚的にはヘッドフォンを使っているという感じをまったく与えないのは、ヘッドバンドの構造とユニットの支持法が実によく考えられているのと、完全オープン・タイプであるために、長時間使用していても違和感や疲労感がまったく生じないためである。
 また、プレイヤーの出力をダイレクトに専用アンプを経由させるだけで、余計な回路を通っていないので、プログラムのクォリティ・チェックにもひじょうに有用である。
 筆者は、仕事の必要上新譜のテストを数日間聴きっぱなしということがある。スピーカーから出る音との音場感の差などを常時チェックしたりするけれど、大部分、K1000だけで試聴して何の不都合も感じない。ひじょうにありがたいのは夜遅く聴かなければならないときに、あまり大音量を出すことは考えものなので、机上の両サイドに置いている小型モニター・スピーカーで接近試聴という不便なことになってしまうが、K1000では、ドアを開けてレコードを大音量(?)で聴いても、隣りの部屋での睡眠の何の邪魔にもならず、昼間と同じ再生レベルで聴くことができる。
 このまったく新しいヘッドフォンを使用中にひとつ新しい発見があった。聴いている音楽を同時にスピーカーからも音を出してみる。それも音量感からいえば、ヘッドフォンを耳で聴いているレベルの数分の1から10分の1ぐらいでよいのだが、このスピーカーの音によって、音場感がひじょうに広くなりパースペクティヴも感じられる。レベル差がひじょうに大きいので定位感はヘッドフォンの音で決まってしまうので、スピーカーに対するリスニング・ポジションを気にすることも必要ではない。今までサテライト・スピーカーを使ったり、いろいろな音場再生を行なってみたことはあるが、ソースのクォリティを損なわず音場感を得られるということは実におもしろい経験でもあった。
 筆者にいわせれば、ミニ・ハイファイ・システムのひとつの極点が、こんなところにあるのではないかと思った次第である。ただし、K1000が17万5千円、専用アンプが22万5千円だから、合せて40万円になる。これを高いと思うか安いと思うかはその人次第だが、いまの高級コンポーネントが、100万から数百万までのがざらにあることを考えれば、筆者はこれは安いと思う。
     *
アンプを、どうするか。アキュフェーズのA20Vが私のところにはある。A級動作、出力 20W+20W。
K1000のインピーダンスは120Ωだから、A20Vの出力は1.3W+1.3Wに、計算上ではなる。

K1000専用アンプであるK1000 Amplifierの出力は、12V以上となっている。W表示ではない。
A20Vの8Ω負荷での20Wの出力は、単純計算で12V以上は確保されているから問題はないし、いい結果をもたらしてくれるのでは、と期待している。

それから試してみたいのは、フッターマンのOTL2である。

Date: 9月 19th, 2026
Cate: ヘッドフォン

AKG K1000がやって来る(その2)

ヤフオク!にも、AKG K1000が出品されていた。写真を見る限り、コンディションは良さそう。
これは落札するしかない、即断した。

eBayで出ていたのは箱の色から、前期型、ヤフオク!のは後期型。
前期型、後期型の比較試聴はしたことがない。私が聴いたK1000が、どちらだったのかも確認していない。それでも、どちらもK1000であることには変りない。

今回落札したK1000が、あとどのくらいいい状態で鳴ってくれるのかはわからない。短いかもしれないし、意外と長いのかもしれない。

これもどちらでもいい。とにかく自分のモノとして、K1000を聴けるようになるのだから。

以前、別項で、LS3/5Aの延長線上にあるのはメリディアン のM20だと書いた。さらにLS3/5A、M20の先にいるのがベーゼンドルファー(現Brodmann Acoustics)のVC7だとも書いている。

この三つのスピーカーシステムを結ぶ直線に、K1000もいるように感じている。

Date: 9月 18th, 2026
Cate: ヘッドフォン

ヘッドフォン考(終のリスニングルームなのだろうか・その15)

(その14)を書いたのは2022年7月だから、もう四年前。
やっとAKGのK1000が、私のところにやって来る。

K1000は、私にとって「終のリスニングルーム」になるのか。

Date: 9月 18th, 2026
Cate: ヘッドフォン

AKG K1000がやって来る(その1)

AKGのK1000のことは、何度か書いてきている。
K1000が登場したころ、私は無職だった。欲しいと思いながらも、当時の価格は170,000円。
無理をしても出せない金額だった。

その後、二回価格改定があって、最終的には120,000円だったと記憶している。このころになると、家電量販店では90,000円ほどで売られているのを見かけたことがある。

それでも買えなかった時期が、私にはあった。

K1000、いいなぁ、もいつしか薄れていくものだと思っていたが、そうではなかった。
2017年のヘッドフォン祭だったか、どこかのブースが自社製品のデモ用ヘッドフォンとしてK1000を聴けるようにしていた。

K1000だ、聴きたい、と思ったから、あえて聴かなかった。ここで聴いてしまうと、欲しいという気持を抑えられなくなる気がしたからだ。

それからもK1000のことは気にかけていた。ヘッドフォンの中古を扱う店で、二回見たことがある。買ってしまおうか、と数日悩んだら、すでに誰かの手に渡っていた。

ヤフオク!にも、こまめにチェックしているわけではないが、時々出品されているのは、もちろん知っている。製造中止になってからでも、けっこうな月日が経っている。
程度が良くなさそうなK1000はパスしたい。

これまで、どうしても手に入れたいというK1000の出品は、私がチェックした範囲ではなかった。

二週間ほど前だったか、facebookに、ある録音風景の写真がアップされていた。数人ほどの演奏者は、みなK1000をかけていた。

この写真が、やっぱりK1000しかない、と思わせた。

ヤフオク!よりもeBayの方がK1000はよく出ている。K1000はあるかなぁ、と軽い気持で検索したら、やっぱりあった。

一つ、かなりコンディションがいいのがある。説明文を読むと、相当に良さそうではある。
イギリスからの出品で、本体1,500ポンド、これに送料と輸入手数料がかかり、トータルで約37万円になる。

買えない金額ではないが、もう少しポンド安にならないものか、と様子を見よう、それからヤフオク!も、またチェックしてみようと思った。