KEF Model 109 “The Maidstone”(その4)
1999年、36歳だった私も、今年は52歳。
それだけ歳をとれば同じモノをみても捉え方に変化を生じもする。
誰もそうであるように、変ったところもあれば、変らないところもある。
ワディアのPower DACについて書くためにステレオサウンド 133号をひっぱり出したついでに、
特集のComponents of the year賞のページを読みなおした。
“The Maidstone”は賞に選ばれている。
井上先生と菅野先生が次のように語られている。
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井上 オーディオ心をくすぐる快感があります。ナチュラルとはいわないけど。
菅野 そう。だけどとても印象に残る音なんだよ。肉付きもいいし。
井上 オープンな鳴り方でスケールが大きい。ここはかつてのKEFとはまったく違うところですね。それから、マルチウェイなのに、まとまりがいいですね。同軸一本が鳴っているような感じすらある。
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改めて読むと、”The Maidstone”を無性を聴きたくなった。
Model 105では、こういう音はしなかった。
どんなにアンプの選択を注意深くやろうとも、
オープンな鳴り方で肉付きのいい音は、Model 105からは出せなかった、と思う。
133号を読んで、こういうKEFもいいじゃないか。
こういう音はModel 105のようなエンクロージュア形態からは出しにくいのでは、とも思った。
幅広のバッフルがミッドバスと同軸型ユニットのところにあるからこその、”The Maidstone”の音だと思えば、
これはこれでいいな、と思えるようになっている。
もしレイモンド・クックが長生きして”The Maidstone”の開発に携わっていたら、
同じになっていたかもしれない、とも思うようになっている。